01個人情報保護士認定試験
1.個人情報保護士認定試験とは
個人情報保護士認定試験は、一般財団法人全日本情報学習振興協会が主催する、個人情報保護と情報セキュリティに関する専門知識を証明する民間資格です。この資格は、個人情報保護法や番号法(マイナンバー法)に関する体系的な知識、そして企業や自治体などの組織における情報セキュリティの管理措置に関する実践力を有していることを認定するものです。
この試験は2005年に創設され、法制度の変化にあわせて試験内容も逐次改訂されています。特に2022年の個人情報保護法改正、2023年のマイナンバー制度の利用拡大など、現代的なテーマへの対応が求められており、情報管理やセキュリティの基盤を理解するうえで非常に有用な資格となっています。
企業や官公庁では、コンプライアンスや情報セキュリティ強化のために従業員に取得を推奨するケースも多く、実務に直結する資格として年々注目度が高まっています。
2.受験資格
この試験には、年齢、学歴、職歴などの制限は一切ありません。誰でも申し込み・受験が可能であり、学生から社会人まで幅広い層の受験者に対応しています。
特に、以下のような方に適した資格といえるでしょう。
情報システム部門、総務・法務部門で個人情報を扱う業務に従事している方
コンプライアンス担当、リスクマネジメント担当として組織のガバナンスに関わる方
個人情報やマイナンバーを取り扱う業務委託先事業者
教育機関・医療機関・自治体などで個人情報の適切な管理を求められる方
就職・転職活動に向けて客観的なスキル証明を得たい方
また、団体受験制度もあるため、組織的な研修に導入されるケースも多く見られます。
3.試験日程(例年のスケジュール)
個人情報保護士認定試験は、年間を通じて複数回実施されています。公式に定められた統一試験(公開会場受験)は、春・夏・秋・冬の年4回程度で、通常は以下のようなスケジュールが採用されています。
春季(3月~4月頃)
夏季(6月~7月頃)
秋季(9月~10月頃)
冬季(12月~1月頃)
また、試験の実施形態によって日程は異なり、次の3つの方式が選べます。
公開会場受験(紙の試験用紙による筆記)
CBT受験:全国170か所以上のテストセンターでPCを使用
IBT受験:自宅などからインターネット経由で受験
4.試験地
公開会場受験は、以下の都市を中心に実施されます。
北海道(札幌)
東北(仙台)
関東(東京、横浜)
中部(名古屋)
近畿(大阪、京都、神戸)
中国(岡山)
九州(福岡)
CBT受験は全国のテストセンターにて実施され、地域による受験機会の偏りが少ないことが特徴です。IBT形式では自宅からの受験が可能であり、時間的・地理的制約の少ない受験が実現されています。
5.受験料
一般:11,000円(税込) 学割:8,800円(税込)
その他各種割引ありがあります。
6.試験内容(詳細)
試験は、以下の2つの課題に分かれており、各課題50問、合計100問のマークシート式です。試験時間は150分です。
課題Ⅰ:個人情報保護法とマイナンバー法の理解
こちらは法律の理解が中心となります。以下のような内容が出題されます。
個人情報保護法の目的・理念
定義(個人情報、個人データ、保有個人データ 等)
取扱事業者の義務(取得・利用・第三者提供・開示請求)
番号法(マイナンバー制度)とその利用範囲
行政機関、公的機関における取扱い
近年の判例や個人情報漏洩事件、ガイドラインとの関係
特に、2022年施行の改正法以降、個人関連情報や仮名加工情報などの新しい定義の理解も求められています。
課題Ⅱ:個人情報保護の対策と情報セキュリティ
こちらは、現場での情報セキュリティ対応に関する実践力が問われます。
組織的・人的・物理的・技術的安全管理措置の基礎と応用
情報漏洩リスクとリスクアセスメント
セキュリティポリシーと教育訓練の設計
システム管理、アクセス制御、通信の暗号化
通報制度、インシデント対応と再発防止策
企業のコンプライアンスや監査の場面で求められる対応方法を、実際のケーススタディ形式で問う設問も多く、机上の知識だけでなく現場を想定した理解が必要です。
7.合格後の流れと研修
試験に合格すると、一般財団法人全日本情報学習振興協会から合格証書および合格認定カード(顔写真入り)が交付されます。また、希望者は「個人情報保護士会」に登録することができます。
登録後は、次のような支援が受けられます。
専門家としての称号使用(名刺への資格明記、ロゴ使用)
情報セキュリティや個人情報保護に関する研修・セミナーへの参加
継続的な資格更新制度(一定期間内に所定の研修受講が必要)
また、より高度なスキルを習得したい方向けに、「個人情報保護士マネジメントクラス認定講習会」や「個人情報保護監査人認定講習会」などの上位講座も用意されています。
8.資格取得のメリット
この資格を取得することで、以下のようなメリットがあります。
コンプライアンス強化:組織内での情報保護責任者・教育担当としての役割が明確に。
就職・転職活動で有利:履歴書や職務経歴書に明記でき、第三者にスキルを証明可能。
研修教材としても活用可能:企業・自治体・学校などでの集団受験制度にも対応。
他資格へのステップアップ:ISMS・Pマーク・CISSP等、情報セキュリティ系資格への土台づくりに。
情報漏洩が経営上の重大なリスクとなる現代において、企業の社会的信頼を守るという観点からも有用性の高い資格といえます。
9.まとめ
個人情報保護士認定試験は、法令理解からセキュリティ実務までを網羅する知識体系を問う、実務的で信頼性の高い民間資格です。企業の情報セキュリティ体制の一翼を担う人材として、また法令順守の推進者として、資格保有者には高い期待が寄せられています。
法改正や新たな情報リスクに備えるためにも、取得後も継続的な学習と実践を重ねる姿勢が求められます。テキスト学習と問題演習を組み合わせた学習法により、着実に合格を目指すことが可能です。受験を検討している方は、まず公式テキストを手に取り、法と実務の架け橋となる知識を身につけてください。
10.ホームページ
一般財団法人 全日本情報学習振興協会

