資格の王様

11知的財産管理技能検定

1.知的財産管理技能検定とは

知的財産管理技能検定は、企業・組織における発明・商標・著作権など知的財産の創造、保護、活用に関する実務能力を評価する国家試験です。厚生労働省の技能検定の一つで、知的財産教育協会が試験の主管・運営を行っています。

2008年に旧「知的財産検定」から移行し、2025年現在、1級・2級・3級の3等級があり、1級は専門分野によって、「特許専門業務」、「コンテンツ専門業務」、「ブランド専門業務」の3つの分野に区分されています(それぞれ別個の試験です)。学科と実技の両試験に合格すると、「技能士」の称号が与えられます。

事務所責任者、知財部員など、専門性や実務能力の証明として企業からも重視される資格です。

2.受験資格

各級ごとの受検要件

3級

知的財産に関する業務に従事している者、または従事しようとしている者(実務経験不要。実質誰でも受験可)。

2級

いずれかに該当する者:

①実務経験2年以上

②3級合格者(合格日から前後2年間有効)

③大学・大学院で10単位以上修得者

④ビジネス著作権検定上級合格者

⑤過去の2級片方合格者

1級

次の①~③いずれか:

①実務経験4年以上

②2級合格者(2級合格後1年以上の実務経験)

③3級合格者(合格後2年以上実務)+大学10単位以上取得者あるいは著作権検定上級

1級では、特許・ブランド・コンテンツの3専門業務から選択し、学科・実技とも専門的知識・実務力が問われます。

3.試験日程(例年のスケジュール)

知財管理技能検定は、年3回(3・7・11月)実施され、級によらず実施頻度は同じです。

4.試験地

紙試験方式:実施地区は回ごとに異なり、3月・11月は全国15〜20道府県。7月は若干少なめ

CBT受験:全国の指定テストセンターで日程・会場予約が可能

3級・2級ともに、北海道~沖縄まで各地で開催され、詳細は回ごとに公式サイトで公開されます。

5.受検手数料

1級:学科試験8,900円 実技試験23,000円

2級:学科試験・実技試験それぞれ8,200円

3級:学科試験・実技試験それぞれ6,100円

6.試験内容(詳細)

試験方式と合格基準

各級とも学科試験(マーク)と実技試験(記述・口述含む)の両方に合格が必要

合格基準

3級:学科・実技ともに70%以上

2級:両方80%以上

1級:学科80%・実技60%以上

各級ごとの試験詳細

3級(管理業務)

学科:3肢択一マーク式30問/45分

実技:記述式30問/45分

内容:知財の基本知識(特許・商標・著作権・不正競争防止法など)やそれを踏まえた実務事例

2級(管理業務)

学科:4肢択一40問/60分

実技:記述式40問/60分

範囲:3級より高度な知財体系・出願や権利調査・契約立案などの実務

1級(専門業務:特許、ブランド、コンテンツ)

学科:4肢択一45問/100分

実技:記述+口頭試問5問/30分程度

科目内容(ブランド専門業務例)

管理(リスクマネジメント)

創造調達(情報・調査、契約)

活用(ライセンス契約、実施権行使、資金調達、価値評価)

関係法規(国内外出願手続や法制度)

ブランド戦略

特許・コンテンツ専門業務もそれぞれ該当領域に応じた高度実務。一級技能士称号とともに、実務上最上位レベルの知財技能士として認定されます。

7.合格後の流れと研修

● 合格証書の発送

試験日から約2~3ヵ月後に合否通知(オンライン)とともに合格証書が発送されます (例:2025年11月試験 → 2026年1月5日結果・証書発送)

● 知的財産管理技能士会への加入

1級・2級合格者は任意加入できる 知的財産管理技能士会 があり、継続研修や情報提供、会誌・会合など知財ネットワーク活動が受けられます

● 継続学習・更新義務

資格維持に法的な更新義務はありませんが、定期的な法・制度変更・運用への対応が重要であり、会やセミナーで知識更新できます。

8.資格取得のメリット

実務能力の証明:企業の知財部門・行政機関などで即戦力として評価される技術的裏付けに。

キャリアアップ:弁理士や法務系資格を目指す際の基礎力・ステップとして有効。

多様な就職・転職に有利:知財専門・知財関連アドバイザーなどキャリア選択が広がる。

専門ネットワークの獲得:技能士会や勉強会で専門家との交流や最新情報取得が可能 。

実務に直結した技能習得:出願、調査、契約、価値評価など具体的業務に活かせる。

ライセンス使用・営業資料などの説得力向上:資格の“見える化”で社内外からの信用獲得。

9.まとめ

意義と対象:知的財産の実務能力を国家が証明する資格。3級から1級までが設定され、レベル別にスキルアップ可能。

実施回数と日程:年3回(3月・7月・11月)。回ごとに出願・会場・試験地が異なる。

各級ごとの学科・実技内容:3級から順次高度に。1級は高度専門実務+口頭試問含む。

受験資格:3級は誰でも。2級以上は実務経験または前級合格等による制限あり。

合格後:技能士会参加や継続研修で能力維持・拡充が可能。

キャリア効果:企業内での実務能力証明、独自ネットワーク、ステップアップの足がかりとして有用。

10.ホームページ

知的財産研究教育財団

https://www.kentei-info-ip-edu.org/