資格の王様

17ファイナンシャル・プランニング技能検定

1.ファイナンシャル・プランニング技能検定とは

ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP技能検定)とは、個人や企業の資産設計に関する知識と技能を評価する国家検定です。厚生労働省が認定する「技能検定制度」のひとつで、正式には「ファイナンシャル・プランニング技能士」と呼ばれます。

この検定は、ライフプランニング、リスク管理、金融資産運用、不動産、税金、相続といった分野に関する幅広い知識を体系的に問うものであり、保険・銀行・証券・不動産業界をはじめ、一般企業の財務担当者や個人投資家など、多様な層に人気があります。

FP技能検定は、1級・2級・3級の3つの等級が設けられており、等級ごとに難易度や求められる実務経験が異なります。特に1級の合格者は「資産設計の専門家」としての評価が高く、顧客へのライフプラン提案や資産相談の信頼性が一段と高まります。

なお、この検定は「国家検定」としての側面を持ちますが、民間資格である「AFP」「CFP(日本FP協会が認定)」と内容が重なる部分も多く、両者を併せて取得する受験者も少なくありません。

2.受験資格

FP技能検定は、3級は誰でも受験できますが、2級と1級には一定の受験資格が設定されています。

(1)3級技能検定

年齢・学歴・職歴・資格の制限なし

誰でも受験可能(学生や社会人、主婦も含む)

(2)2級技能検定

次のいずれかに該当する必要があります。

3級に合格している者

日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者

FP業務に関して2年以上の実務経験がある者

(3)1級技能検定(学科)

日本FP協会認定のCFP®認定者ほか

(4)1級技能検定(実技)

1級学科試験合格者のみが受験可能(学科と実技は別日程)

このように、2級・1級については、段階的に学習を進めることが求められており、実務経験を重ねながらスキルアップしていく構造となっています。

3.試験日程(例年のスケジュール)

FP技能検定は、年3回実施されることが基本となっています。1級については年1回の実施です。

【3級・2級】

実施月:1月・5月・9月(年3回)

申込期間:試験日の約2か月前〜1か月前

合格発表:試験日から約1か月後(Web・郵送)

【1級】

学科試験:例年9月に実施

実技試験:学科合格者を対象に、翌年1月ごろに実施

試験は日曜日に実施されるため、平日勤務の社会人にとっても受験しやすい日程となっています。また、申込方法は日本FP協会または金融財政事情研究会(きんざい)を通じてインターネットまたは郵送で行います。

4.試験地

FP技能検定は、全国の主要都市で実施されています。都道府県ごとに複数の会場が設けられることもあり、交通アクセスのよい大学や貸会議室が会場となります。

【主な試験地】

北海道(札幌)

東北(仙台、盛岡、秋田など)

関東(東京、横浜、さいたま、千葉、宇都宮、水戸など)

中部(名古屋、新潟、静岡、金沢など)

近畿(大阪、京都、神戸など)

中国・四国(広島、松山、岡山、高松など)

九州(福岡、熊本、鹿児島など)

試験会場の詳細は、受験票送付時に正式に案内されます。自宅からアクセスしやすい地域を選んで申し込みができるため、地方在住者にも配慮された仕組みとなっています。

5.受検手数料

1級:

金融財政事情研究会 学科試験8,900円 実技試験28,000円

日本FP協会 20,000円

2級:学科試験5,700円 実技試験6,000円

3級:学科試験4,000円 実技試験4,000円

6.試験内容(詳細)

FP技能検定の試験は「学科試験」と「実技試験」に分かれており、それぞれに合格する必要があります。試験内容は等級に応じて異なりますが、6つの専門分野にまたがる幅広い知識が問われます。

【共通の出題分野(6分野)】

ライフプランニングと資金計画

リスク管理(保険)

金融資産運用(投資)

タックスプランニング(税制)

不動産(購入・賃貸・税務)

相続・事業承継

(1)3級

【学科試験】

形式:マークシート式(○×式30問+三択式30問)

時間:120分

合格基準:60%以上正解

【実技試験】

形式:筆記式(事例形式、計算含む)

時間:60分

合格基準:60%以上正解

主に「個人レベルの資産管理」に関する基礎的な知識と計算能力を問う内容です。試験対策教材も豊富にあり、初学者にとっては最も取り組みやすい級といえます。

(2)2級

【学科試験】

形式:四肢択一式(60問)

時間:120分

合格基準:36問以上正解(60%)

【実技試験】

金融財政事情研究会(個人資産相談業務)

日本FP協会(資産設計提案業務)

形式:記述・計算・選択形式(事例分析型)

時間:90分

合格基準:60点以上(100点満点)

2級からは実務を想定した事例形式が中心となり、顧客の資産状況やライフプランに基づいて最適な金融商品や保険、税務対応を提案する力が求められます。

(3)1級

【学科試験】

形式:記述式+多肢選択式(複数選択含む)

時間:300分(午前・午後)

合格基準:60%以上

【実技試験(面接)】

内容:口頭試問(事例に基づいた提案の説明、判断理由など)

実施:日本FP協会が担当

時間:約30分(非公開形式)

1級では、専門家としての提案能力と倫理観が問われ、知識の正確さに加えて「顧客との対話能力」「実務判断力」が大きく評価されます。特に実技は面接形式のため、模擬面接などによる対策が必要不可欠です。

7.合格後の流れと研修

FP技能検定に合格した後は、「ファイナンシャル・プランニング技能士」としての称号が与えられます。合格した等級によって、名刺や履歴書に「○級ファイナンシャル・プランニング技能士」と記載することが可能です。

また、希望者は以下のような研修・資格に進むこともできます。

AFP資格の取得(2級合格者対象)

日本FP協会認定研修を修了し、所定の登録手続を経てAFP認定が受けられます。

CFP資格の取得(AFP登録後)

6科目のCFP試験に合格し、実務経験を経てCFPとして認定されます。

継続教育制度(AFP・CFPのみ)

FPとして活動を継続するためには、定期的な講習や単位取得が求められます(国家検定のFP技能士は更新不要)。

8.資格取得のメリット

FP技能検定を取得することで、次のようなメリットがあります。

顧客への信頼性の向上

資格保有によって専門知識の証明となり、顧客からの信用を得やすくなります。

職業選択の幅が広がる

金融・保険・不動産・税務など、複数の業種で活かせる汎用性の高い資格です。

日常生活にも役立つ知識

年金、保険、税金、投資など、生活に直結する内容を体系的に学ぶことができます。

キャリアアップ・昇進に有利

企業内では、資格手当や昇進要件として評価されることもあります。

独立・開業の基盤となる

CFPや1級FP技能士の取得後には、独立系FPとしての開業やコンサルタント業務も可能です。

9.まとめ

ファイナンシャル・プランニング技能検定は、人生における資産管理やライフプランの設計に必要な知識を体系的に学び、実務に応用する力を養う国家検定です。3級から1級まで段階的にステップアップできる仕組みとなっており、実務経験に応じてキャリアを積み上げていくことが可能です。

また、FP資格は単なる試験の合否にとどまらず、自身の生活や家計管理にも直接役立つという点で、非常に実用的な資格といえます。金融リテラシーの重要性が増す現代社会において、FP技能士としての知識とスキルは、他者の人生を支えると同時に、自身の未来をも豊かにするツールとなるでしょう。

10.ホームページ

日本FP協会

https://www.jafp.or.jp/exam/about/

一般社団法人 金融財政事情研究会

https://www.kinzai.or.jp/fp