23中小企業診断士試験
1.中小企業診断士試験とは
中小企業診断士試験は、経済産業省所管の国家資格「中小企業診断士」を取得するための試験です。中小企業や小規模事業者に対して経営診断や助言を行う専門家としての知識・能力を評価するために、筆記試験(1次・2次)および口述試験、さらに実務補習や実務従事などを含む3段階の資格取得プロセスで構成されています。経営コンサルタント分野では唯一の国家専門資格であり、難易度・社会的意義ともに高い位置づけにあります。
2.受験資格
第1次試験については、年齢・性別・学歴・職歴・国籍を問わず誰でも受験可能です。
第2次試験は、第1次試験合格者に受験資格があり、有効期間は合格年度とその翌年度の合計2年間です。
3.試験日程(例年スケジュール)
第1次試験(筆記・マークシート)
試験日:8月上旬の2日間(土・日)
申込期間:例年4月下旬~5月下旬(
合格発表:9月上旬
第2次試験(筆記+口述)
筆記試験:10月下旬の日曜
筆記結果公表:1月中旬
口述試験:1月下旬の日曜
最終合格発表:2月初旬
4.試験地
第1次試験
全国10地区で実施:
札幌、仙台、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、松山、福岡、那覇
第2次試験
全国7地区で実施:
札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡
地方在住者は、移動や宿泊の準備が必要になります。
5.受験手数料等
1次:14,500円(非課税)
2次:17,800円(非課税)
6.試験内容(詳細)
第1次試験(筆記/マークシート)
科目数:7科目すべて
1日目:経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理(土曜)
2日目:経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策(日曜)
形式:多肢選択式(4〜5択)、科目ごと60〜90分
合格基準:総点数60%以上かつ各科目40%以上
科目合格制度:7科目中1~6科目の科目合格が可能。合格科目は3年間有効
第2次試験(筆記/記述式)
科目数:事例4題(各80分・100点)
中小企業の診断および助言に関する実務の事例Ⅰ~Ⅳ
合格基準:総点数60%以上かつ各科目40%以上
口述試験
形式:複数名による口述試験。2次筆記合格者が対象
内容:事例内容や知識の確認。
7.合格後の流れと研修
最初のプロセス
1次・2次(筆記+口述)試験合格
実務補習/実務従事
3年以内に15日以上の実務補習または従事が必要
登録申請
実務を経た後、「日本中小企業診断士協会連合会」への登録申請が可能になります
更新制度
資格には5年の有効期間があり、更新には「専門知識の補修(研修・論文審査どちらかが5回以上)」と「実務従事」が必要
8.資格取得のメリット
経営コンサルタントの国家資格として信頼性が高く、独立・企業勤務で活用可能
就職・転職・昇進で有利:経営企画・コンサル・金融の分野で評価されます。
体系的なビジネス知識:経営・財務・法務・ITなど広範な分野に精通
継続教育でスキル維持:更新制により時事対応が可能
高収入・独立可能:副業、独立経営、育成・研修分野で活躍の場が広がります。
ネットワーク形成:協会を通じた実務仲間とのつながりやチーム支援が可能
9.まとめ
中小企業診断士試験は、「7科目の1次試験」「4事例の2次筆記」「口述試験」「実務補習・従事」を経て登録に至る、あり方が体系的で政治性・実務性を兼ね備えた難関国家資格です。合格率は全体で約20%弱と非常に厳しいですが、その分経営支援能力の信頼性と社会的価値は極めて高いといえます。
自らのキャリアアップや経営コンサルタントとしての専門性を磨くには、計画的な学習と実務経験の両立が鍵となります。本資格取得を通じて、経営者支援や中小企業の成長を支える実力を身につけ、次世代の経済社会の中で活躍する人材を目指してみてはいかがでしょうか。

