26社会保険労務士試験
1.社会保険労務士試験とは
社会保険労務士試験は、企業の労務管理や社会保険手続きを専門とする国家資格「社会保険労務士(社労士)」を取得するための国家試験です。試験は社会保険労務士法に基づき、全国社会保険労務士会連合会試験センターが行います。
社労士は、労働法令に精通した専門家として、企業の人事・労務管理や社会保険の手続き代行、年金相談などを行います。企業、従業員、行政をつなぐ役割を担う専門性の高い職域として注目されています。
2.受験資格
試験の受験には以下のいずれか一つの要件を満たす必要があります:
学歴要件(大学・短大・高専卒など)
実務経験要件(労働社会保険関係の事務3年以上)
国家資格保有者(行政書士など厚生労働大臣が認めた資格)
高卒者であっても実務経験を積むか国家資格を取ることで受験できます。申込時には「受験資格証明書」の提出が必要です。
3.試験日程(例年のスケジュール)
社会保険労務士試験は年1回の実施です。
| 申込期間 | 4月~5月 |
| 試験日 | 8月下旬 午前に選択式(80分)、午後に択一式(210分)を実施。 |
| 合格発表 | 10月初旬 |
4.試験地
2025年の試験地は、全国19都道府県です:
北海道、宮城、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、石川、静岡、愛知
京都、大阪、兵庫、岡山、広島、香川、福岡、熊本、沖縄
申し込み時には受験地を選択できますが、定員によって希望通りにならない場合もあります。
受験票(試験会場)は8月上旬に発送されます。
5.受験手数料(非課税)
15,000円
6.試験内容(詳細)
試験は「選択式」と「択一式」の2方式で構成され、全8科目から出題されます。
■出題科目
選択式(計8問 80分):労働関係4科目+社会保険関係4科目。空欄に語句や数字を填める形式。各問5点、合計40点
択一式(計70問 210分):5択マーク方式、全8科目 計70問 合計70点。
■大分類の科目
労働基準法・労働安全衛生法
労働者災害補償保険法
雇用保険法
労務管理その他の労働に関する一般常識
社会保険に関する一般常識
健康保険法
厚生年金保険法
国民年金法
■合格基準
合格基準点は、選択式試験及び択一式試験のそれぞれの総得点と、それぞれの科目ごとに定められます。各成績のいずれかが合格基準点に達しない場合は不合格となります(合格基準点は、合格発表日に公表されます。)。
7.合格後の流れと研修
試験合格後、合格者は以下のステップを経て正式な「社労士」となります。
合格通知:10月に合格者名簿(官報・ウェブ)公布。
社労士の資格を有する者が社労士になるには、全国社会保険労務士会連合会に備える社労士名簿に登録を受けなければなりません。登録には、社労士となる資格(社労士試験合格等)を有していることに加え、2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験が必要です。実務経験が2年に満たない場合は、連合会が実施する事務指定講習の修了がこれと同等以上の経験を有するものと認められています。
また、社労士は、登録を受けたときに、当然、都道府県の社会保険労務士会の会員となることになっています。入会するのは、開業する事務所、もしくは勤務先事業所の所在地または居住地の住所の区域に設立されている都道府県社会保険労務士会となります。
8.資格取得のメリット
社労士資格は以下のような多様な価値をもたらします:
専門職としての信頼獲得:労働・社会保険に関する法的専門性が評価されます。
業務の独立・幅の広がり:個人事務所開業、企業内人事部門、年金相談業務、労務コンサルなどに活用可能。
収益性の向上:コンサルティング・労務顧問として報酬獲得や資格手当の前提要件に。
キャリア転機の強化:人事、総務、労務マネージャーなどの職域で昇進・転職に有利。
社会貢献:労働者保護、年金支援、企業コンプライアンス体制の強化に貢献。
9.まとめ
社会保険労務士試験は、法律・実務の双方に精通した専門家を目指す国家試験です。細部の法改正対応力、体系的な知識、記憶力が問われ、合格率は例年6~7%の高い難易度です。
実務経験やキャリアアップを目指す社会人にとって、非常に実践的で社会的評価の高い資格となります。初心者でも、的確な対策と継続学習によって合格を目指すことができます。
10.ホームページ
全国社会保険労務士会連合会

