資格の王様

29キャリアコンサルタント試験

1.キャリアコンサルタント試験とは

キャリアコンサルタント試験は、厚生労働大臣登録の試験機関によって実施される、国家資格「キャリアコンサルタント」を得るための試験です。試験機関は以下の2団体です:

特定非営利活動法人 キャリアコンサルティング協議会

特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会

試験制度は、学科試験・実技(論述)試験、そして実技(面接)試験の三段階で構成されており、知識および実践力を総合的に評価します。合格後は厚生労働大臣への登録を経て、正式に「キャリアコンサルタント」を名乗り、相談業務が可能になります。

2.受験資格

以下のいずれかを満たす必要があります :

厚生労働大臣認定の養成講習(150時間)を修了した者

労働者へのキャリア相談経験が3年以上ある者

技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験の合格者

その他、同等以上の能力があると認められた者

養成講習は通学・オンライン・通信型があり、「理論+演習」で計150時間(演習70時間程度)です。

3.試験日程

年3回下記の月に行われます。

7月 11月 3月

学科試験と実技論述試験が同日の日曜日に行われ、実技面接試験が翌週および翌々週の土・日曜日に行われています。

4.試験地

学科試験、実技試験ともに下記の地区で開催されます。

札幌・仙台・東京・金沢・名古屋・大阪・広島・福岡・沖縄

5.受験料

受験する試験により次の3つがあります。

1.学科と実技(論述および面接)38,800円

2.学科のみ 8,900円

3.実技(論述および面接)のみ 29,900円

6.試験内容(詳細)

■学科試験(筆記)

形式:マークシート方式(四肢択一)

時間:100分

合格基準:100点満点で70点以上が必要

内容:キャリアコンサルタントに必要な基本知識。過去問を見る限り、おおむね70問程度出題されます。内容は以下が中心です:

職業の理論、キャリア支援のプロセス

労働市場、法令・制度

キャリアカウンセリング技法

倫理規定と専門職としての心構え

ケーススタディ的な理解力も要求されており、暗記だけでなく応用力が求められます

■実技試験(論述)

形式:記述式

時間:50分

合格基準:40%以上の得点が必要

総合合格には実技試験全体で150点満点で90%以上の得点が必要

内容:

相談者の逐語記録(会話テキスト)が与えられます。

その記録に基づいて、相談者の問題本質の整理・因果分析・支援方策などの設問に解答する。

論理的思考と実践的スキルが求められ、段階的な「気づき促進」のプロセスを書くことがポイント

■実技試験(面接:ロールプレイ+口頭試問)

形式:

ロールプレイ:15分

口頭試問:5分

合計20分

合格基準:

実技試験(論述)とあわせて150点満点で90点以上の得点

面接試験については、評価区分の中の「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」のいずれにおいても満点の40%以上の得点が必要

評価項目:

実施団体によって表現が異なりますが、評価対象は以下のように整理されています:

キャリアコンサルティング協議会:態度/展開/自己評価

日本キャリア開発協会(JCDA):主訴・問題把握/具体的展開/傾聴

内容:

ロールプレイは「相談者役」との15分間の模擬面談です。相談者の背景・問題を尊重しつつ、傾聴・問いかけ・整理の技術を用いて「自己理解・目標明確化」に導く実践力が問われます

口頭試問では、面接での振り返りや「支援の展開方策」「自己評価」などの問いに答えます。

7.合格後の流れと研修

合格後

登録が必須:各実施機関への合格登録後、厚生労働省への申請により「キャリアコンサルタント」として名乗る資格が得られます。

継続制度

登録更新制度あり:5年ごとに継続教育(講習・実務)が義務となります。

登録後も協議会の研修・フォーラム・勉強会を受講できます 。

8.資格取得のメリット

国家資格としての信頼性:厚労省の認定資格で専門性が担保されます。

キャリア支援の専門家として活躍可:企業内、人材支援機関、教育機関、ハローワークなど。

相談・育成・教育領域での独立も視野:個人相談・スクール活動・セミナー進出が可能。

転職・昇進にも有利:人事、労務、教育、研修担当者としての展開が期待されます。

学術的バックアップあり:理論+実技のバランスで実務適用力が習得可能。

法的裏付けによる制度的価値:職業能力開発推進助成との関連支援もふくむ。

9.まとめ

キャリアコンサルタント試験は、知識と実践力を並列して認証する国家試験であり、キャリア支援領域で専門的に仕事をしたい方に適した資格です。150時間の養成講習など受験準備のハードルはありますが、それをクリアすれば、国家の保証する信頼性を武器に、幅広いキャリアパスが開けます。

制度継続と更新制度により、一度取ったら終わりではなく、専門家として成長し続ける環境が整っています。相談支援の使命を担い、個人のキャリア形成に寄り添いたい方にとって、価値ある資格といえるでしょう。

10.ホームページ

キャリアコンサルティング協議会

https://www.career-shiken.org/