資格の王様

37応用情報技術者試験

令和8年度(2026年度)から、応用情報技術者試験はCBT方式での実施に移行予定です。本サイトでの試験日程、試験地の記述の内容は令和7年度(2025年度)ものであり、変更となる可能性があります。情報が公開され次第、更新する予定です。

なお、試験で問う知識・技能の範囲、出題形式(多肢選択式・記述式)、出題数及び試験時間については変更はない旨が発表されています。

1. 応用情報技術者試験とは

応用情報技術者試験(AP:Applied Information Technology Engineer Examination)は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験の一つで、基本情報技術者試験の上位に位置付けられる国家試験です。

この試験は、ITエンジニアとして中堅レベルの技術力を証明するものであり、企業における情報システムの設計、開発、運用、セキュリティ対策、プロジェクトマネジメントなど、幅広い領域に対応できる能力が問われます。単なる知識の保有だけでなく、実際の業務に応用できる実践的スキルを有していることが前提となっている点が特徴です。

応用情報技術者試験は、IT分野でのキャリアアップを目指す人にとって、非常に重要なステップとなる資格であり、ITエンジニアとしての高度な専門性を証明する手段として高く評価されています。

2. 受験資格

応用情報技術者試験には、年齢、学歴、職歴などの受験制限は一切なく、誰でも受験することが可能です。基本情報技術者試験に合格していなくても、応用情報技術者試験を直接受験することができます。

ただし、試験のレベルは中級〜上級レベルにあたるため、一定のIT知識と業務経験が求められます。未経験者であっても、十分な準備を重ねれば合格は可能ですが、事前の学習計画と体系的な知識の習得が不可欠です。

3. 試験日程(例年のスケジュール)

応用情報技術者試験は、原則として年2回、春期(4月)と秋期(10月)に実施されています。いずれも日曜日に行われ、全国一斉試験として統一された日程で実施されます。

試験の申込みは、試験日の数か月前からIPAの公式サイトでオンライン申請する形となっており、期間中に手続きを完了する必要があります。受験票は試験日の2〜3週間前に発送され、試験会場や注意事項が記載されています。

4. 試験地

試験地は、日本全国の主要都市に設けられた試験会場で実施されます。

なお、会場の詳細は受験票にて通知されるため、申込時点では特定の会場指定はできません。受験票の到着後に、試験地の場所・集合時間・持ち物などを確認し、事前にアクセスルートを調べておくことが推奨されます。

5.受験料(税込)

7,500円

6. 試験内容(詳細)

応用情報技術者試験は、「午前試験」と「午後試験」の2部構成となっており、それぞれに出題形式・評価基準が異なります。両方の試験で合格基準(各60%以上)を満たす必要があります。

〇午前試験(選択式)

試験時間:150分(9:30〜12:00)

問題数:80問(四肢択一式)

出題範囲:情報処理全般(基本情報技術者試験と同様だが、より深い知識が求められる)

出題分野は以下の通りです。

テクノロジ系(コンピュータ構成要素、システム開発技術、ネットワーク、データベース、セキュリティなど)

マネジメント系(プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査など)

ストラテジ系(企業活動、法務、経営戦略、ビジネスインダストリなど)

午前試験では、IT全般にわたる知識の広さと深さが求められ、技術的な基礎力に加え、管理的視点や経営的視点からの理解も問われます。

〇午後試験(記述式)

試験時間:150分(13:00〜15:30)

問題形式:記述式(長文問題+設問)

問題数:全11問のうち5問を選択解答(必須1問+選択4問)

午後試験の問題構成は以下のとおりです。

分野問題数解答数備考
情報セキュリティ1問必須全員解答が必要
ソフトウェア開発・アルゴリズム1問任意高度なプログラミング知識が求められる
データベース、ネットワーク、システムアーキテクチャなど各1問任意自分の得意分野から選択可
ITサービスマネジメント、プロジェクトマネジメント、経営戦略など各1問任意ビジネス領域の知識も問われる

午後問題では、単なる知識ではなく、実務における問題解決能力、分析力、論理的思考力が重視されます。記述形式のため、設問に対して簡潔かつ的確に答える文章力も求められます。

7. 合格後の流れと研修

応用情報技術者試験に合格すると、IPAより合格証書が交付されます。合格実績は履歴書や職務経歴書に記載することができ、民間企業や官公庁などで高く評価される国家資格のひとつです。

また、応用情報技術者試験は、上位資格である「高度試験(情報処理安全確保支援士試験、システムアーキテクト試験、プロジェクトマネージャ試験など)」への足がかりとなっており、キャリアアップを目指すうえでの通過点と位置づけられています。

さらに、応用情報技術者試験の合格により、一部の大学や専門学校では単位認定が受けられる場合があります。企業によっては、資格手当や昇進要件に組み込まれていることもあるため、資格取得はキャリア形成において極めて有利に働きます。

8. 資格取得のメリット

応用情報技術者試験の合格は、単なる知識保有者ではなく、実務に応用可能なITスキルを有する専門職としての証明となります。以下のようなメリットがあります。

国家資格としての信頼性が高く、就職・転職・昇進に有利

IT部門に限らず、企画・経営・法務など多方面で活用可能

上位資格や他の専門資格への登竜門となる

実務に即した能力(セキュリティ、マネジメント、戦略思考など)の習得

DX推進に貢献できる人材として社内評価が高まる

また、情報処理安全確保支援士試験(登録セキスペ)へのステップとして位置づけられているため、サイバーセキュリティ分野を志向する人にとっても必須の資格といえます。

9. まとめ

応用情報技術者試験は、ITに関する深い知識と高度な実務スキルを問う中級レベルの国家試験であり、IT業界において重要な地位を占めています。受験資格に制限がなく、誰でも挑戦できる開かれた試験である一方、合格には体系的かつ実践的な学習が求められます。

午前・午後の二部構成を通じて、広範な知識と応用力、文章力、分析力がバランスよく問われるため、試験対策を通じてIT人材としての基礎から応用までを総合的に高めることができます。

合格後は、上位資格への挑戦、昇進・転職の加点、実務力の証明など、さまざまな場面で活用可能であり、特にIT部門に限らず業務全般においてデジタル化が進む現代において、その重要性は今後ますます高まっていくでしょう。

10.ホームページ

独立行政法人 情報処理推進機構

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/ap.html