資格の王様

49日本語能力試験

1.日本語能力試験(JLPT)とは

日本語能力試験(Japanese‑Language Proficiency Test、JLPT)は、日本語を母語としない人を対象に、日本語能力を測定し認定する国内外で最大規模の試験です。1984年に国際交流基金と日本国際教育支援協会(旧:日本国際教育協会)によって開始されました。

現在、世界各国で実施されており、N1〜N5の5つの級から構成されていて、N5が最も易しく、N1が最も難易度が高いとされています。

試験としての特徴として、読む・聞く能力を中心に測定する形式で、受験資格に制限はなく、誰でも受験可能です。

2.受験資格

JLPTの受験資格に年齢・国籍・学歴などの制限はなく、日本語を母語としない方なら誰でも受験可能です。日本国籍の有無は問われません。また、身体に障がいのある方には受験上の配慮もあり、申し込み時に「配慮申請書」を提出することで対応がされます

3.試験日程(例年のスケジュール)

例年、日本国内では7月と12月の年2回開催されます。

半年に一度の受験チャンスが定期的に提供されているため、自分の学習スケジュールに合わせて受験計画を立てやすくなっています。

4.試験地

JLPTの試験会場は日本全国の主要都市で設定されています。

試験ごとにMyJLPT(日本国際教育支援協会サイト)を通じて受験登録が行われ、申し込んだ受験地で受験票が発行されます。

5.受験料(税込)

7,500円

6.試験内容(詳細)〔級別の認定目安〕

日本語能力試験(JLPT)は、N5からN1までの5段階に分かれており、それぞれ「読む」「聞く」の力を中心に評価します。

N5(最も基礎的なレベル)

読む:ひらがな、カタカナ、日常的に使われる基本的な漢字で書かれた語句や文章を読んで理解できる。

聞く:教室や身近な場面で、ゆっくり話される短い会話を聞き、必要な情報を把握でき日本語学習を始めた初級者が、基本的な読み書き・会話を行えるレベル。

N4(基礎レベル)

読む:基本的な語彙や漢字を用いた、日常生活に関する身近な文章を読んで理解できる。

聞く:日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話の内容をほぼ理解できる。

初級から一歩進み、日常生活でよく出会う文章や会話を扱える段階。

N3(中級レベル/N2とN4の橋渡し)

読む:日常的な話題に関する具体的な文章を読み理解できる。新聞の見出しから概要をつかめる。やや難しい文章でも言い換えがあれば要旨を理解できる。

聞く:日常生活の場面で、自然に近い速さのまとまった会話を聞き、話の内容や登場人物の関係をほぼ理解できる。

基礎を超え、中級の入口に立つレベル。学習者が実生活で徐々に日本語を使いこなせる力を示す。

N2(中上級レベル)

読む:新聞や雑誌の記事、解説、平易な評論などを読んで理解できる。一般的な話題の文章であれば、流れや表現意図も把握できる。

聞く:日常場面に加え、幅広い場面で自然なスピードの会話やニュースを聞き、内容や話の流れ、登場人物の関係を理解できる。

実務や大学学習に対応できる中上級者水準。社会生活でも高い理解力を発揮できる。

N1(最上級レベル)

読む:社説や評論など論理的・抽象的で複雑な文章を読み、構成や内容を理解できる。深みのある読み物を読んで、詳細な表現意図も把握できる。

聞く:講義やニュースなど、自然なスピードで行われる広範な場面の日本語を聞き、流れ・論理構成・登場人物の関係を詳細に理解できる。

日本語を高度に使いこなし、学術的な議論や専門分野にも対応できる水準。

7.合格後の流れと研修

JLPTには「合格後の研修」や「資格の更新」といった制度は存在しません。合格すると「合格証明書・成績証明書」が発行されますが、検定自体に有効期限はなく、一度取得した級は無期限に使用可能です。

8.資格取得のメリット

JLPT合格には数多くのメリットがあります:

単位認定・卒業資格認定など、大学・学校での学術的評価に利用できる場合があります。

企業での採用・昇給・昇進の評価材料として活用されるケースもあります

「高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度」で、N1合格者には15ポイント、N2合格者には10ポイントが付与される優遇措置に該当することもあります。

外国の医師国家試験受験資格の条件や、准看護師試験受験の条件にN1が含まれるケースもあります。

中学校卒業程度認定試験(中卒認定)における国語科目の免除対象になることもあります(N1またはN2で免除可)。

9.まとめ

日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母語としない人の「読む」および「聞く」力を公正に測定し、N5からN1までの5つの級で認定する、世界規模で展開される検定制度です。受験資格に制限はなく、多様な背景を持つ学習者に開かれており、年2回(7月・12月)全国で実施されるため、計画的かつ継続的な受験が可能です。

試験は「文字・語彙」「文法・読解」「聴解」で構成され、合格には総合得点と各セクションの基準を同時にクリアする必要があります。成績証明書は進学・就職などさまざまな場面での証明書として使用でき、「資格更新」の概念はなく、一度取得すれば長期間にわたって活用できる点も特徴です。

さらに、JLPTの級は、出入国管理上の優遇措置や医師国家試験など特殊な受験条件、高校・大学の単位認定や卒業要件の免除など、多方面で制度的・社会的にも評価されています。したがって、学習の目標として取得を目指す価値の高い検定であるといえます。

10.ホームページ

財団法人日本国際教育支援協会

https://www.jlpt.jp/