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54国家公務員採用総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)

1.国家公務員採用総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)とは

国家公務員総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)は、「政策の企画及び立案、または調査及び研究に関する事務をその職務とする係員の採用試験」です。

中央省庁におけるいわゆる「キャリア官僚候補」を対象とする難関試験で、高度な政策対応能力が求められます。

大きく分けて、「大卒程度試験」と「院卒者試験(法務区分を除く)」があり、さらに秋に「教養区分」、あるいは「法務区分(司法関係を対象)」が実施されます

本解説では主に春に行われる大卒・院卒向け試験を中心に扱います。

2.受験資格

◎ 大卒程度試験(春)

生年月日要件:1995年(平成7年)4月2日〜2004年(平成16年)4月1日生まれの者。

それ以降の出生であっても以下を満たせば可:

大学(短期大学除く)卒業者または2026年3月までに卒業見込みの者。

または、人事院が同等と認めた者

◎ 院卒者試験(法務を除く)

生年月日要件:1995年4月2日以降生まれで、大学院修士課程修了者または2026年3月修了見込み、または人事院認定者

◎ 共通の制限

国籍:日本国籍を有さない者は一般的に受験不可(ただし例外がある場合あり)

その他法令上の制限:禁錮以上の刑の執行中、懲戒免職から2年経過していない者、反憲法的な団体への加入者などは受験不可

3.試験日程(例年のスケジュール)

人事院が示す2025年度春試験の例をもとに、例年の大まかな流れを説明します。

申込受付期間:例年2月初旬〜2月下旬(2025年は2月3日9:00〜2月25日)

第1次試験日:3月中旬(2025年は3月16日(日))

第1次試験合格発表:例年3月下旬から3月末(2025年は3月31日9:00発表)

第2次試験(筆記):4月中旬(2025年は4月13日(日))

第2次試験(人物面接):4月〜5月中旬(2025年は4月21日〜5月16日)

最終合格発表:5月下旬(2025年は5月30日16:00)

官庁訪問:最終合格後、6月中旬より複数クールに分かれて実施(2025年は6月11日〜23日程で内々定解禁)

正式採用・内定:10月1日に正式採用、勤務開始は翌年4月

4.試験地

公的資料には「全国的に実施」との記載はあるものの、具体的な試験地一覧はPDFに記載されていないようです。そのため、例年主要都市(東京・大阪・名古屋など)および地方都市での実施が前提ですが、最新版受験案内での確認が必要です。

5.試験内容(詳細)

大卒・院卒試験の春試験における具体的な内容をまとめます。

第1次試験(多肢選択式)

基礎能力試験:

出題数:30問

試験時間:約2時間20分

配点比率:約2/15

専門試験(多肢選択式):

出題数:40問

試験時間:約3時間30分

第2次試験

専門試験(記述式):

出題:2題

試験時間:約3時間

配点比率:約5/15

政策論文試験(対象区分により異なるが、大卒程度は論文):

出題数:1題

試験時間:約2時間

配点比率:約2/15

人物試験(面接):

実施:個別面接

※ 専門試験(1次・2次合わせて8/15配点)が試験の中心であり、特に重要視されています。

6.合格後の流れと研修

官庁訪問:最終合格後に「採用候補者名簿」に掲載され、6月以降に希望省庁を訪問し、面接・説明会を通じて選考・内々定を得ます。

内々定から正式内定へ:官庁訪問終了後、10月1日に正式な採用内定となります

入省・研修:正式採用後、翌年4月に国家公務員総合職として各省庁に配属。研修(新規採用職員研修など)を通じて政策立案・企画業務に備えるのが一般的です(PDF詳細未確認ですが毎年度実施される流れです)。

7.資格取得のメリット

早期キャリア形成:入省後は政策立案や研究など、高度な業務に携われ、昇進スピードも比較的速い傾向があります。

選択肢の広さ:複数の専門区分(法務、法律、経済、政治・国際・人文、デジタル、工学、人間科学など)があり、自身の専攻に応じた柔軟な選択が可能です

強い専門性配点:専門試験(記述・多肢選択)が高配点(8/15)であるため、自分の得意分野でしっかり対策すれば力が活かせます

官庁訪問によるミスマッチ防止:内々定前に業務内容や省庁雰囲気を実際に知れるため、適性に合った部署に進みやすくなります。

合格有効期間の柔軟性:合格後すぐに採用されない場合でも、有効期間中(大卒程度は5年間、教養区分は6年6ヶ月)の間に採用を受けられる制度もあります。

8.まとめ

国家公務員総合職試験は、中央省庁で政策企画や立案、研究などに従事する幹部候補を採用するための試験であり、我が国の行政運営を担う人材を育成する上で極めて重要な役割を果たしています。受験資格には年齢や学歴などの要件があり、大卒程度試験と院卒者試験に分かれて実施される点が特徴です。また、国籍や懲戒歴などに関する制限も設けられており、公務員としてふさわしい人物であることが求められます。

試験日程は例年2月の出願から始まり、3月に第1次試験、4月から5月にかけて第2次試験が実施され、5月末に最終合格発表が行われます。その後6月に官庁訪問が始まり、内々定を経て10月に正式な採用内定が決定し、翌年4月からの勤務開始という流れになります。

試験内容は基礎能力試験や専門試験(多肢選択式・記述式)、政策論文試験、そして人物試験と多岐にわたり、特に専門試験の配点が高く重視されるのが特徴です。これにより、受験者は自らの専門分野を深めつつ、幅広い教養や論理的思考力、政策立案能力を磨くことが求められます。

最終合格後には、官庁訪問を通じて志望省庁とマッチングを行い、正式採用後は新規採用職員研修を経て各省庁に配属されます。この流れは、受験生にとって単なる試験突破ではなく、自身の適性や関心を実務に結びつけるための重要な過程といえるでしょう。

総合職試験を突破することのメリットは大きく、早期に政策立案や国の施策形成に携わることができる点や、専門分野を活かしてキャリアを積み上げられる点にあります。また、合格者は採用候補者名簿に一定期間登録されるため、合格直後に採用されなくとも柔軟にキャリア形成の機会を得ることが可能です。

このように、国家公務員総合職試験は、受験準備から合格後のキャリアまで一貫して高いハードルと大きな魅力を併せ持つ試験であり、日本の将来を担う行政官を志す人々にとって最も重要な登竜門となっています。

10.ホームページ

人事院

https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken.html#ippan_label