56日本語教育能力検定試験
1.日本語教育能力検定試験とは
日本語教育能力検定試験は、公益財団法人日本国際教育支援協会(JEES)が実施する、日本語を教えるために必要な基礎的知識と応用力が備わっているかを検定する民間試験です。日本語教育の実践につながる体系的知識や、状況に応じた知識を関連づけ、多様な教育現場に対応する能力が基礎的な水準に達しているかどうかを判定することが目的です。
試験は年1回、10月の日曜日に行われます(令和7年度は10月26日)
試験区分は「試験I」「試験II」「試験III」の3部構成で、それぞれ異なる形式・時間配分で行われ、合計で数時間にわたる試験です。
本試験は国家資格ではありませんが、日本語教育に関心を持つ人々に広く活用されています。また、今後予定されている登録日本語教員資格制度の筆記試験対策などにも資する内容であるとされています。
2.受験資格
公開されている受験案内には、年齢・学歴などの受験資格に関する制限がないことが特徴です。つまり、誰でも受験可能であり、日本語教育に関わる基礎的知識と能力を客観的に測る場として広く開かれています。
3.試験日程(例年のスケジュール)
以下は直近(令和7年度)のスケジュールをもとに、例年の流れを整理したものです。
出願期間:7月1日(火)~7月31日(木)※すべてオンライン出願
試験日:10月第4週の日曜日(令和7年度は10月26日(日))
受験票発送:9月下旬頃(令和7年度は9月26日(金))
合否通知発送:12月中旬~下旬(令和7年度は12月19日(金)予定)
このように、出願~合否通知までのスケジュールは毎年ほぼ同一のペースで行われています。
4.試験地
試験実施地区は、日本全国を地域区分(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・九州など)に分け、受験希望地区を選んで出願する形式です
関東では主に東京都内数か所で実施される例が多く、他の地域も各地の主要都市が会場として設定される傾向にあります。
5.受験料(税込)
17,000円
6.試験内容(詳細)
本試験は「試験I」「試験II」「試験III」の3部構成からなり、それぞれ役割と形式が異なりますが、いずれも日本語教育に関する知識・能力の測定を目的に設計されています
● 試験I(基礎的知識の筆記。マークシート形式)
解答時間:90分
配点:100点
内容:「日本語教育の実践につながる基礎的な知識」の測定。出題範囲の区分ごとに幅広く出題。音声を媒体とした設問も含む。
● 試験II(短時間・音声形式)
解答時間:30分(目安)
配点:40点
内容:音声を聴いて理解する力など、「基礎的な知識」および「音声媒体を介した理解能力」を測定
● 試験III(応用的問題解決力・記述含む)
解答時間:120分
配点:100点
内容:出題範囲を横断した設問によって、熟練した日本語教師が持ち得る「現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力」を
測定。記述式設問も含まれることがあります
※ 試験全体の構成表
| 試験 | 解答時間 | 配点 | 主な測定内容 |
|---|---|---|---|
| 試験I | 90分 | 100点 | 基礎的知識、音声理解を含む |
| 試験II | 30分 | 40点 | 音声媒体を通じた知識理解 |
| 試験III | 120分 | 100点 | 横断的・応用的問題解決力(記述含む) |
出題範囲について
詳細な出題範囲はPDFの案内(本受験案内)に記載されていますが、日本語教育に関する理論・教授法・教材開発・評価・学習者心理・カリキュラム設計など多岐にわたります。
これらを踏まえ、現場対応力や基礎知識をバランス良く評価する出題構成です。
7.合格後の流れと研修
本試験はあくまでも民間の検定試験であり、合格しても国家資格や登録日本語教員資格が自動で与えられるものではありません。
合格後の公的な採用や研修は直接関連しておらず、自主的なキャリア形成や教材選び、学習目標などに活用されることが多いです。
ただし、現在検討中・制度化予定の「登録日本語教員(国家資格)」制度の筆記試験には、本試験と出題範囲が類似している可能性があり、対策として有効であるという評価もあります。
JEESからは、合格証明書の発行サービス(オンライン申請)も提供されており、有料で取得できます。
8.取得のメリット
本試験合格のメリットを整理すると以下の通りです:
教育現場での評価材料
日本語教育に関する知識と応用力を客観的に示すことができ、履歴書や指導現場での信頼獲得に役立つ。
学習目標の明確化
出題範囲が体系的かつ広範であるため、自学や対策学習の指針として有用。
国家資格化制度への準備的役割
将来的に導入が見込まれる登録日本語教員制度の筆記試験対策として、本試験の内容が蓄積となりうる。
日本語教育への理解深化
理論や教授法、教材・評価等を包括的に学べる機会となり、日本語教育に関わる基盤づくりにつながる。
9.まとめ
日本語教育能力検定試験は、JEESによって年1回実施される、日本語教育の基本的な知識や応用力を測る民間の検定試験です。出願は7月、試験は10月、合否通知は12月という例年のスケジュールで進行し、誰でも受験可能です。試験は3部構成(試験I〜III)で、筆記・音声・記述の多面的な評価を通じて実践力を測ります。
合格すれば公的資格ではありませんが、教育現場や学習設計の振り返り、および将来的な日本語教育関連資格制度への橋渡しとなる価値があります。出願から受験、合格証取得まで、すべてオンラインで手続きできる利便性も特徴です。
10.ホームページ
公益財団法人日本国際教育支援協会

