資格の王様

60歯科衛生士国家試験

1.歯科衛生士国家試験とは(試験概要)

歯科衛生士国家試験は、厚生労働省が定める国家資格「歯科衛生士」を取得するための必須試験です。歯科衛生士として働くには、文部科学大臣指定の養成機関(専門学校、短期大学、大学など)を修了し、国家試験に合格して免許登録を行う必要があります。口腔内の清掃や歯科保健指導、診療補助など専門的な業務を法的に行う資格の登竜門です。

2.受験資格

受験者は以下のいずれかに該当する者です:

高校卒業後、文部科学大臣指定の歯科衛生士学校・養成所(3年制〜4年制)を卒業または修了見込みの者。年齢・性別の制限はありません

外国の歯科衛生士養成機関を修了し、厚生労働大臣が日本の指定機関卒業者と同等以上と認めた者でも受験資格を得ることが可能です。

3.試験日程(例年のスケジュール)

試験は年1回、3月の第1日曜日に全国で実施されます。

第34回試験(2025年3月2日(日))が最新であり、合格発表は同年3月26日(水)午後2時に一般財団法人歯科医療振興財団および厚労省のサイトにて行われました

願書受付や公式発表は例年前年9月~10月頃に行われ、受験要項が学校などへ配布されます。

4.試験地

第34回試験は、北海道・宮城県・東京都・新潟県・愛知県・大阪府・広島県・香川県・福岡県・沖縄県の10都道府県・約12会場で実施されました(各地で大学や会議施設が使用)

受験票には指定会場が記載され、直前確認が重要です。

5.受験手数料

14,300円

6.試験内容(詳細)

▸ 形式と時間配分

試験時間は午前(9:30〜12:00)、午後(13:30〜16:00)の合計300分(5時間)。マークシート方式で午前・午後それぞれ110問、合計220問(1問1点)出題されます

実技試験はなく、すべて択一式の筆記試験です。

▸ 出題科目

9科目で構成され、それぞれが試験の基礎〜臨床に関わる知識を網羅します

人体(歯・口腔を除く)の構造と機能

歯・口腔の構造と機能

疾病の成り立ち及び回復過程の促進

歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み

歯科衛生士概論

臨床歯科医学

歯科予防処置論

歯科保健指導論

歯科診療補助論

▸ 合格基準

合格基準は正答率60%以上(例:220点満点中132点以上)で、一部採点除外問題がある場合は満点や基準点が調整されます(第34回は215点満点で129点以上で合格)

国家試験全体として合格者には受験者数の約91%〜95%が合格しており、高い合格率が特徴です

▸ 試験の難易度と傾向

専門学校や大学で必要なカリキュラムを修了した者が受験するため、基礎力があり、試験難易度は決して低くありません。ただし合格率が高いのは、教育カリキュラムの充実や受験資格制限によるものとされています。

出題傾向として、臨床知識の運用、予防処置や保健指導の実践的視点、社会的制度や倫理に関する内容が重要視されており、応用力が試されます。

7.合格後の流れと研修

合格後、一般財団法人歯科医療振興財団または厚生労働省のWebに受験番号と受験地が掲載されます。さらに合格通知が学校や個人に送付されます

その後、歯科衛生士名簿への登録手続きを行うことで、厚生労働大臣より正式に歯科衛生士免許証が交付されます

義務的研修制度は特に定められていませんが、就業先や各地学会等による 継続教育(CE)や専門研修プログラム を通じてスキル向上を図ることが一般的です。

8.資格取得のメリット

歯科衛生士として法的な業務遂行が可能になり、歯科診療所・病院・保険指導機関などで専門職として働けます。

合格率が非常に高く(90%超)、就職に有利:医療業界全体で歯科衛生士の需要が高く、求人倍率も高水準で安定した職種です。

予防処置や保健指導、診療補助など、口腔保健分野の専門性と社会貢献性が高く評価されます。活躍の場は歯科医院に限らず、公共・教育・介護分野など幅広く拡大しています。

9.まとめ

歯科衛生士国家試験は、歯科衛生士として法的に認定されるための重要な国家試験であり、専門養成機関を修了した者だけが受験できる狭き門ながら、合格率は90%以上という高い水準が特徴です。試験は年1回、3月初旬の日曜日に全国10都道府県で実施され、午前・午後各110問、合計220問を5時間で解答します。科目は9領域にわたり、臨床的視点や制度知識まで含んだ幅広い内容が問われ、応用力と実践力が重視されます。

合格後には免許申請を経て正式に歯科衛生士となり、医療現場や保健指導、介護支援など多彩な職場で活躍が期待されます。継続学習や専門分野への研修によって、生涯にわたってスキルを高めるキャリアパスがあります。

10.ホームページ

厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/shikaeiseishi/