63保健師国家試験
1.保健師国家試験とは(試験概要)
保健師国家試験は、妊産婦・乳幼児から高齢者まで、地域の健康支援や疾病予防・保健活動を担う 保健師として働くための国家資格取得に必要な試験です。看護師資格を前提とし、厚生労働省が定める出題基準に基づき公益財団法人等が実施します。合格後、厚生労働大臣によって保健師免許が交付され、行政・地域・企業などさまざまな場で公的保健活動に従事できます
2.受験資格
受験資格は以下のどれかに該当する者です:
看護師資格を持ち、さらに 保健師養成課程を1年以上修了または修了見込みの者。
文部科学大臣または都道府県知事が指定する養成課程(専門学校や大学)の修了または見込みの者。
外国の保健師養成課程を修了し、厚労省が国内と同等と認めた者。
旧法時代の条件により継続教育的に認定されている者
看護師国家試験合格が前提であるため、看護師と同時に受験する新卒者は注意が必要です。保健師に合格しても看護師免許がなければ登録できず、後日看護師試験に合格した時点で初めて保健師免許が有効となります
3.試験日程(例年スケジュール)
第111回(2025年実施)は、令和7年2月14日(金)に1日(日程は数日前までに発表されます)に行われました
願書配布は前年10月中旬以降、受付期間が11月8日〜11月29日、受験票交付は翌年1月中旬~後半です
合格発表は、同年 3月24日(月)午後2時に厚労省ホームページ上で受験地と受験番号により掲載されます
4.試験地
試験は 全国12都道府県 で開催され、主な会場は以下の通りです:
北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県
会場は各都道府県の指定大学や施設(例:東京では複数会場)が使用され、受験票に記載された会場に厳密に従う必要があります。
5.受験手数料
5,400円
6.試験内容(詳細)
▸ 出題構成と時間配分
全110問(一般75問 × 1点、状況設定35問 × 2点) 計145点満点のマークシート方式で実施
試験時間は以下の通り:
午前:10:45〜12:00(75分)
午後:13:55〜15:15(80分)
合計約155分(2時間35分)です
▸ 出題科目(4分野)
試験は次の 4科目 から出題されます
公衆衛生看護学
疫学・保健統計学
保健医療福祉行政論
保健活動論・地域保健論(状況設定に含む)
一般問題と状況設定問題が混在し、基礎知識と同時に実践的判断力が試されます。
▸ 合格基準
合格に必要な得点は合計145点中87点以上(60%)が原則です。ただし、採点除外された問題が年度によってはあるため、実際の合格点は変動する可能性があります
状況設定問題(35問×2点=70点)は合計得点に大きく影響し、応用力を示す重要な部分です。
▸ 出題傾向と特徴
公衆衛生看護学では地域保健、母子保健、高齢者支援、保健所業務などの実践的活動に関する設問が多くなっています。
疫学・統計学では、感染症対策や健康指標の解釈など、数値やデータへの理解力が求められます。
行政論では、保健所・市町村保健制度・福祉連携・法制度などへの知識が頻出です。
状況設定問題は複数選択肢の中から総合的判断を求める「事例形式」で、保健師としての問題解決力が評価されます
▸ 難易度・合格率
合格率は概ね 80〜95%。2025年試験では 94.0%(受験者7,658人のうち合格者7,196人) でした
新卒者の合格率は 85〜98% 程度と非常に高いですが、再受験者や社会人掲題者では合格率がやや低くなる傾向があります。
7.合格後の流れと研修
合格発表後:厚労省HPで受験地と受験番号が掲載されます。通知書も届き、免許申請手続きの案内がなされます
免許申請:登録免許税・手数料の納付を経て、保健師免許証が交付されます。
資格の活用:保健所、区市町村、医療機関、行政機関、企業の健康部門などで就業可能。
継続教育・研修:免許更新制度はありませんが、保健師協会や自治体等主催の研修を受け、知識・スキルを更新することが推奨されます。
8.資格取得のメリット
保健師として公的保健活動に法的に従事できる唯一の資格です。
合格率が高く、養成課程をしっかり修了すれば高い確率で合格可能です。
活躍分野は、保健所・保健センター・学校・企業など幅広く、地域保健や健康政策に貢献できる仕事です。
高齢化社会や地域包括ケア推進に伴い、公衆衛生の担い手として需要が拡大しています。
9.まとめ
保健師国家試験は、看護師資格の上に成り立つ専門職としての国家試験で、試験日は 毎年2月中旬(金曜)、合格発表は 3月24日(月)午後2時 のケースが多いです
全国12都道府県に分散して開催され、110問(一般+状況設定)を制限時間内に解答する構成。満点145点のうち、約87点以上が目安です。
科目は4分野に分かれて公衆衛生全体を網羅し、特に 状況設定問題で応用力が問われます。
合格率は安定して80~95%と高く、新卒者ならより高確率です。
合格後は免許申請を通じて正式な「保健師免許証」が交付され、行政や地域医療、福祉分野での活躍が可能です。
10.ホームページ
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/hokenshi/

