69調理師試験
1.調理師試験とは
調理師試験とは、飲食物を多くの人に提供する専門職として、衛生と安全、栄養、調理技術の基準を満たす調理師の資格を得るための国家試験です。調理師法に基づき運営され、都道府県が実施する公的な国家試験であり、合格・免許取得により資格者として正規に調理業務に従事することが法的に認められます 。
2.受験資格
受験には以下の条件を満たす必要があります:
学歴:中学校卒業以上、またはそれに準ずる学力を有すること(旧制学校の修了者も含みます)
職歴:調理業務に連続して2年以上従事していること。対象となる施設・業務は以下の通りであり、パート・アルバイトでも「週4日以上・1日6時間以上」の勤務があれば対象となる場合があります。
飲食店営業(旅館、簡易宿泊所を含む。ただし喫茶店営業は除く)
魚介類販売業(調理を伴うもの。販売のみは不可)
惣菜製造業・複合型惣菜製造業(煮物・焼物・揚げ物・蒸し物・酢の物・和え物、また米飯・パンを含む調理)
給食施設(寄宿舎・学校・病院などで1回20食以上あるいは1日50食以上を継続して調理する施設)
ただし、以下の業務は調理業務として認められません:接客や配膳、洗い場、食品の加工・製造(菓子・パン・調味料等)、食品開発、栄養士・看護師などの業務、食品営業許可のない施設、喫茶店営業、外国の飲食店、高校在学中の調理など
3.試験日程(例年のスケジュール)
調理師試験は、通常 年1回実施され、都道府県ごとにスケジュールが異なります。例えば、東京都では2025年度に10月25日に実施された例があり、夏季に実施する自治体もあります。
4.試験地
試験地は各都道府県内で複数の会場が指定され、会場は主に調理師養成施設や学校などが活用されます。受験者は申請時に自ら指定することはできず、運営側で割り振られます。
5.受験手数料
実施都県により異なります。
6,100円~6,400円
6.試験内容(詳細)
調理師試験は下記のような構成で行われます。
出題形式・構成・科目割合
出題形式:全問題マークシート形式による四肢択一式
問題数:全部で60問以上。
試験時間:120分以上
科目と配分割合(平成9年告示による基準):
公衆衛生学:15%
食品学:10%
栄養学:15%
食品衛生学:25%
調理理論:30%
食文化概論:5%
合否判定基準
総得点で合計60%以上の得点が必要です(例:60問なら36問以上正解)
ただし、特定科目が平均得点を著しく下回っている場合は不合格とされる足切り制限も併設されています。
7.合格後の流れと研修
合格すると「調理師免許申請書」など必要書類とともに、免許申請を都道府県に行います。免許取得後は正式な調理師として飲食業や給食施設などでの調理業務が可能です。登録後は、調理師法に基づき氏名や勤務場所などの就業届出を2年ごとに行う義務があります。
また、免許取得者を対象にした 衛生管理講習やスキル向上セミナーなども各地で開催されており、継続的研鑽が可能です(詳細は自治体または技能センターの案内によります)。
8.資格取得のメリット
資格取得には以下のようなメリットがあります:
業務上の信頼性:国家資格として、衛生や食の専門知識に基づく正当な調理業務の担い手として法的にも認められる点が大きな信頼となります。
就職・転職に有利:飲食店、給食施設、病院、福祉施設など、多くの現場で資格保有者が優遇される傾向にあります
技能と知識の証明:衛生・栄養・調理理論・食文化などの知識・理論を修得していることの証明となり、調理技術にも裏打ちされる形になります。
独立や開業の際の信頼材料:調理師免許を持つことで、店舗運営や飲食店開業時の信用力や社会的評価が向上します。
学歴・経歴に応じた取得方法:養成施設を卒業すれば試験を免除されるルートもあり、学びと資格取得が効率化されます。また実務経験での受験ルートもあるため柔軟な選択が可能です。
9.まとめ
調理師試験は、実務と衛生、食文化を含む幅広い知識を基盤とする国家資格試験です。試験は年1回、60問・120分・マークシート形式で実施され、6分野をバランスよくカバーします。受験資格は中学卒業以上と2年以上の調理従事歴が基本ですが、養成施設ルートもあり、経路の選択が可能です。合格後は免許を取得し、専門的な調理業務に従事できるほか、就職や開業においても大きな武器となる資格です。飲食や給食を担う方、美食に携わりたい方にとって、取得する価値の高い国家資格といえます。
10.ホームページ
調理技術技能センター

