資格の王様

71総合旅行業務取扱管理者試験

1.総合旅行業務取扱管理者試験とは

総合旅行業務取扱管理者試験とは、国内旅行業務に加えて海外旅行業務も扱える、旅行業における国家資格取得を目的とした試験です。旅行業法に基づき、旅行会社は営業所ごとに一定人数の旅行業務取扱管理者を配置する義務があり、総合試験の合格者はその要件を満たす重要な役割を担います

本試験によって、旅行業法や約款、国内・海外実務に関する幅広く高度な知識が求められ、旅行会社における契約管理、旅行商品手配、輸送・宿泊の調整などを総合的に監督・管理できる人材であることが証明されます。

2.受験資格

総合旅行業務取扱管理者試験には、年齢・国籍などに関係なく、誰でも受験可能です。ただし、旅行業法第11条の3第4項の規定により、受験停止処分を受けている者や合格の無効処分を受けた者は、停止期間中は受験できません

3.試験日程(例年のスケジュール)

総合旅行業務取扱管理者試験は、例年年1回、10月の第4日曜日またはその前後に実施されるのが通例です

例えば、令和7年度は10月26日(日)午前10時30分開始とされており、試験時間は事前に開場される予定です

4.試験地

試験会場は全国に複数設けられており、北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・広島県・福岡県・沖縄県など主要な所に開かれます

受験者には受験票で具体的な会場が指定され、申込後に会場の変更はできません。東京都内に複数の会場がある場合でも、選択はできず、主催者側で振り分けられます

5.受験手数料

13,000円

6.試験内容(詳細)

総合旅行業務取扱管理者試験は、以下の4科目で構成され、すべてマークシート方式で出題されます

出題科目と内容

旅行業法およびこれに基づく命令

旅行業約款、運送約款および宿泊約款

国内旅行実務(国内運賃・料金、観光地理など)

海外旅行実務(国際運賃、出入国法令、海外観光地理、語学含む)

試験時間は、高難度の科目ほど区分されおり、「旅行業法」「約款」の2科目は80分、「国内旅行実務」「海外旅行実務」は合計で120分です

配点と出題構成

《海外旅行実務》科目では、配点と出題形式にも特徴があります。過去5年間の傾向としては、以下のように構成されていました

「航空運賃」「出入国法令」「語学」「旅行実務等」は各40点、1問5点×8問

「海外観光地理」は1問2点×20問構成

科目満点120点中120点以上で合格となっており、足切り制度は明記されていません

合格基準

合格には、すべての科目で60%以上の得点が必要です(各科目別・総得点別の足切りあり)

免除制度

他資格・研修を活用することで一部科目の免除が可能です 。

国内旅行業務取扱管理者を取得済みであれば、「旅行業法および命令」と「国内旅行実務」の2科目が無期限で免除されます。

過年度の総合試験で国内・海外実務のどちらかに合格していれば、翌年度はその該当科目のみ受験となるケースがあります(但し年限限定)

総合旅行業務取扱管理者研修を修了した者にも、対象科目が免除される場合があります(前年度・当年度の修了者に限る)

合格率・難易度

総合試験の合格率は、約20~30%程度で、国内資格よりも難易度が高い傾向にあります 。

ただし、免除制度を利用して科目数を減らした場合の合格率は95%前後と高く、非常に効率的な取得方法であることが実証されています。

7.合格後の流れと研修

試験合格後、合格者には合格証書が郵送され、資格証として使用できるようになります

資格取得後は、旅行会社において営業所ごとに総合旅行業務取扱管理者を配置する義務が生じ、契約の管理や書類の監督などを担う責務を負います。

また、継続的な研修制度があり、知識更新や法制改正への対応のために一定の研修を受講することが推奨・義務付けられている場合もあります。

8.資格取得のメリット

資格取得の主な利点は以下の通りです。

旅行業界における必須ポジションとなる

営業所に総合旅行業務取扱管理者を配置する法令義務があるため、就職・転職時のアドバンテージが大きいです 。

業務範囲が広がる

国内だけでなく海外旅行業務も扱える資格であり、仕事の幅が拡大し、キャリアの可能性も高まります

効率的なステップ取得が可能

国内旅行業務取扱管理者から順に取得し、免除制度を活用することで、無理なく段階的に「総合」も取得できます 。

安定した合格形態

各科目の得点率で合否が決まるため、自分が合格ラインをクリアすれば他者の成績に影響されません。

9.まとめ

総合旅行業務取扱管理者試験は、国内外の旅行業務を統括できる高度な国家資格です。受験資格は特になく、年1回の試験に合格すれば資格取得できます。試験は「旅行業法」「約款」「国内実務」「海外実務」の4科目から成り、すべて60%以上の得点を取る必要があります。免除制度を活用すれば効率的に挑戦可能であり、合格後は重要な管理業務を担うことになります。合格率は国内に比べ低いものの、取得すればキャリア形成に大きく役立つ有用な資格です。

10.ホームページ

一般社団法人日本旅行業協会

https://www.jata-net.or.jp/seminar/