資格の王様

77理容師国家試験および美容師国家試験

1.理容師国家試験および美容師国家試験とは

理容師国家試験および美容師国家試験は、それぞれ理容師法および美容師法に基づいて実施される国家資格試験で、理容または美容業を正規に営むためには、国家試験に合格した上で免許を取得しなければなりません。この試験は、厚生労働省が所管し、公益財団法人 理容師美容師試験研修センターが実施機関として運営しています。

受験者は筆記試験と実技試験の両方を合格することが求められ、業務独占資格として、安全と品質を担保する重要な役割を担います

2.受験資格

受験資格は、所定の養成施設を修了することが前提です。理容師・美容師養成施設では、昼間課程・夜間課程では原則として2年以上の修業期間、通信課程では3年以上の過程を修了する必要があります。

平成10年3月31日以前に入学した場合は、修了後に一定期間の実地訓練(例:昼間課程1年以上)が必要だった時期もありますが、現在は養成施設修了が主な受験資格です。

3.試験日程(例年のスケジュール)

理容師国家試験および美容師国家試験は年2回(春期と秋期)実施されます。春期は、例年1~2月頃に実技試験、3月頃に筆記試験が行われ、秋期は7月下旬~8月上旬に実技試験、9月上旬に筆記試験が行われるスケジュールが通例です。

令和7年度の美容師国家試験(第52回)では、実技試験が2025年8月1日(金)から、筆記試験が2025年9月7日(日)に実施されます。

4.試験地

試験地は全国各地に設けられており、実技・筆記ともに養成施設や大学、専修学校などが会場として指定されます。例えば、令和7年度 第51回理容師国家試験の筆記試験会場は、北海道・東北・関東・中部・関西など16都道府県におよび、全国19会場で実施されました。

5.受験手数料

実技試験及び筆記試験(両方)受験 25,000円

実技試験(のみ)受験 12,500円

筆記試験(のみ)受験 12,500円

6.試験内容(詳細)

筆記試験と実技試験それぞれの内容は以下の通りです。

筆記試験

出題形式は多肢選択式で、美容師国家試験では7課目 × 計55問が出題されます。科目は以下の5分野に分類されます:関係法規・運営管理、衛生管理、保健、香粧品化学、文化論および美容技術理論

合格基準は、55問中60%以上の正答率かつ、各課目につき無得点がないことが求められます。

学科試験はマークシート形式で行われ、以下のような内容が出題されます。

関係法規・制度(理容師法・美容師法、衛生管理法規など)

公衆衛生・環境衛生(感染症、消毒法、廃棄物管理など)

衛生管理技術(器具の消毒、施設の清掃・管理方法)

関係保健(人体の構造と機能、皮膚・毛髪の構造、疾病の基礎知識)

理容・美容の運営管理(経営、接客、労務管理など)

実技試験

実技試験は国家試験の大きな特徴であり、実際にモデルや課題を用いて技術を行う形式です。共通して、与えられた時間内に正確かつ衛生的に作業を進める能力が求められます。また、衛生面の不備は大きな減点要因となるため、技術だけでなく安全管理・衛生意識も重要です。

(1)理容師国家試験

実技試験の内容

基本カッティング(主に男性の頭髪を対象としたカット技術)

シェービング(顔のひげそりを含む処理、皮膚を傷つけずに滑らかに仕上げる技術)

衛生措置の確認

理容師は「頭髪および顔面の整容」を中心としたサービスを担うため、シェービング技術が独自の試験内容として盛り込まれています。

(2)美容師国家試験

実技試験の内容

ワインディング(パーマネントウェーブ用のロッドを用いた巻き技術)

カッティング(指定されたスタイルに基づいたカット)

セッティングやスタイリングの基礎技術

衛生措置の確認

美容師は「頭髪の美容」を中心とするため、パーマやスタイリングに直結するワインディング技術が独特の課題として出題されます。

まとめ

理容師と美容師の国家試験は、いずれも学科・実技を通じて総合的な知識と技能を確認するものであり、共通部分では衛生管理・基礎的な毛髪や人体の理解を重視しています。一方で、理容師は シェービング、美容師は ワインディング を中心に、それぞれの業務特性に応じた独特の課題が設定されている点が両試験の大きな違いです。

7.合格後の流れと研修

国家試験に合格した後は、合格証書等を基に理容師名簿または美容師名簿への登録申請を行うことで、正式に免許の交付を受けます。

免許取得後は理容師・美容師として活動可能になり、さらなるキャリアとして、管理理容師・管理美容師講習会での資格取得や講習受講も用意されています。

8.資格取得のメリット

法的な業務独占資格として、国家試験に合格した者だけが理容・美容業を正当に営めるため、社会的信頼が非常に高まります。

ステップアップ可能な制度設計で、筆記・実技のいずれかの科目合格者は次回その科目が免除されるなど効率よく合格を目指すことができます。

年2回の試験実施により、学業や仕事との両立も比較的しやすく、チャンスが多い制度です。

高い合格率の実績もあり、例年、春期の理容師合格率は約80〜85%、美容師は約85〜90%と安定しています。

9.まとめ

理容師国家試験および美容師国家試験は、理容・美容業界において国家資格として不可欠な位置付けにあります。受験には厚生労働省指定の養成施設の修了が必要で、試験は筆記と実技の2部構成。年2回実施されるため柔軟に挑戦でき、合格すれば法的に業務を行える免許を取得可能です。国家資格ゆえの社会的信頼や就職・開業時の武器となる上、ステップ免除制度なども活用すれば効率的な取得ができます。理容師・美容師を目指す方にとって、極めて意義深く、価値ある資格であることは間違いありません。

10.ホームページ

公益財団法人 理容師美容師試験研修センター

https://www.rbc.or.jp/