78色彩検定
1.色彩検定とは
色彩検定は、1990年に初回が実施された、色に関する理論と応用力を評価する公的資格であり、その歴史と信頼性が大きな特徴です。累計受検者数は180万人を超え、文部科学省による後援も得ています。
この検定では、色が人の印象や感情、空間デザイン、商品企画などに与える影響を理論的に理解し、感性だけに頼らない配色力を身につけることを目標としています。受検対象は学生やデザイナーに限らず、一般社会人にも広がり、ファッション、インテリア、企画・販売などさまざまな分野で活用されています。
2.受験資格
色彩検定には年齢・学歴・職歴を問う制限がなく、誰でもどの級からでも受験可能です。初めての受験でも安心して挑戦でき、必要に応じて自分のレベルに合った級を選ぶことができます。
3.試験日程(例年のスケジュール)
検定は原則として年2回、6月(夏期)と11月(冬期)に実施されます。UC級は冬期のみ実施というスケジュール体制です。各級の実施時期と試験方式は以下の通りです:
3級・2級・UC級:夏期(6月)と冬期(11月)両方実施
1級:1次試験が11月、2次(記述含む)は12月に実施
4.試験地
受検者の希望エリアにもとづいた公開会場で受検することができます。
公開会場は北海道から沖縄までの全国に設置されています。
5.受験料(税込)
1級 15,000円
2級 10,000円
3級 7,000円
UC級 6,000円
5.試験内容(詳細)
色彩検定は級ごとに出題範囲や形式が異なり、以下に級ごとの特徴をまとめます。
出題形式
3級
マークシート方式による択一問題(選択肢の中から正しいものを選ぶ形式)。
2級
マークシート方式に加え、一部に記述式問題を含む。実務に直結する応用的知識を問う。
1級
マークシート方式と記述式問題の併用。専門的かつ実践的な知識を体系的に問われる。
時間
3級
試験時間:70分
2級
試験時間:80分
1級
試験時間:90分
各級の出題範囲・特徴
3級(初学者向け)
色の働き、視覚の仕組み、三属性(色相・明度・彩度)の理解、PCCSや色彩調和、配色イメージ、インテリア・ファッションの基礎、慣用色名などが範囲となります。
出題例では、PCCSに基づく配色パターンの選択問題が確認でき、基礎理解を問う内容です。
2級(実務応用向け)
3級の内容に加え、ユニバーサルデザイン、光と色、マンセル表色系、色彩心理、配色技法、ビジュアルデザイン、景観色彩など、応用力と実務に活かせる知識を含みます。
出題例では、PCCSによる配色名称(トーナル、スプリットコンプリメンタリーなど)を選ぶ問題があります。
1級(プロフェッショナル向け)
さらに高度で専門的な内容が範囲に含まれます。例えば、色彩と文化、光と色の科学的理解、XYZ表色系、測色技術、色彩心理、CMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)設計、景観色彩、色彩とビジネス戦略などが出題範囲です。
1次試験では配色理論、調和概念についての出題、2次試験では実際の製品への配色提案を問う設問といった高度な課題が提示されています。
UC級(ユニバーサルデザイン対応)
色の見え方の多様性、色覚バリアフリー、年齢による見え方変化、高齢者対応設計など、ユニバーサルデザインの観点から配色を考える検定です。
6.合格後の流れと研修
合格者には「色彩検定合格証書」が交付され、学んだ知識を活かして教育機関や企業での業務に応用することができます。また、公認カラーコーディネーターとしてセミナーや講師活動を展開することも可能です。色彩検定協会では、色彩講師養成講座などの教育プログラムや会員制度も設けられ、資格取得後の活動支援が行われています。
7.資格取得のメリット
公的信頼性:文部科学省後援の資格であり、社会的な評価が高いです。
段階学習による成長:3級から1級まで階段的に習得でき、技能・知識を積み上げやすい構成です。
多様な活用分野:ファッション・建築・デザイン・福祉など幅広い分野で求められ、キャリア形成に役立ちます。
UC級による社会的配慮:ユニバーサルデザインのスキル取得により、幅広いユーザーへの配慮ができる専門性が得られます。
効率的な学習:公式テキストと過去問題集が充実しており、効率よく準備できます。
8.まとめ
色彩検定は、色の基礎から専門的な応用力までの理論と配色力を評価する、階層型の公的資格です。誰でも受験できる開かれた制度であり、級ごとに段階的な専門性が育てられる設計になっています。UC級の設置により、ユニバーサルデザインの視点も身につく点が現代的です。ファッション、インテリア、デザイン、福祉など多業種で活かせ、色彩の正しい理解を通じて生活や仕事を
豊かにする力を養う資格として、多くの人に価値ある挑戦となるでしょう。
10.ホームページ
色彩検定協会

