資格の王様

79気象予報士試験

1.気象予報士試験とは

気象予報士試験は、気象業務法に基づき、一般財団法人 気象業務支援センターが気象庁長官の委託を受けて実施する国家試験です。この試験は、気象または地象(地震、火山現象、土砂崩れを除く)などに関する予報業務を行う者が、適切に予測できる能力を備えているかどうかを認定するものです。特に、防災に関連する配慮や科学的予測能力、気象学的基礎知識の習得が目的とされています。

2.受験資格

受験に際して年齢・性別・学歴・実務経験などに関する制限はなく、誰でも受験することができます。唯一の例外は、気象業務法によって処分を受けた場合のみ制限対象となります。

3.試験日程(例年のスケジュール)

気象予報士試験は年2回の実施が通例で、第1回は8月下旬、第2回は1月下旬に行われます。

令和7年度(2025年度)の具体例:

第1回(通算第64回)

受験資料配布開始:2025年5月19日(月)

受験申請期間:6月16日(月)~7月4日(金)※当日消印有効

受験票到着:8月4日(月)~8月8日(金)

試験日:8月24日(日)

合格発表:10月10日(金)

第2回(通算第65回)

受験資料配布開始:2025年10月14日(火)

申請期間:11月10日(月)~11月28日(金)

受験票到着:12月29日(月)~2026年1月7日(水)

試験日:1月25日(日)

合格発表:3月13日(金)

4.試験地

試験は全国6か所で実施されます。北海道・宮城県・東京都・大阪府・福岡県・沖縄県です。受験申請時に「希望受験地」を記入し、試験会場は受験票で指定されます。ただし、同一地域内で複数会場がある場合、個別の会場指定はできません。

5.受験料

受験料は、学科試験の免除科目の有無に応じて異なり、以下のとおりです:

免除科目なし:11,400円

学科一科目免除:10,400円

学科二科目免除:9,400円

6.試験内容(詳細)

試験は、学科試験(一般知識・専門知識)および実技試験で構成され、これらすべてに合格する必要があります。

学科試験

(1)一般知識(多肢選択式・マークシート)

出題数:15問

試験時間:60分

合格基準:11問以上正解(難易度により調整あり)

出題内容:大気の構造、熱力学、降水過程、放射、大気の力学、気象現象、気候変動、気象業務法など

(2)専門知識(多肢選択式・マークシート)

出題数:15問

試験時間:60分

合格基準:11問以上正解(調整あり)

出題内容:観測活用、数値予報、短期~長期予報、局地・短時間予報、気象災害、予測精度評価、予報応用など

実技試験

構成: 記述式および作図・記号記入等

試験時間:2部構成(75分+75分)

出題内容:

気象概況およびその変動の把握

局地的な気象の予報

台風等緊急時における対応

合格基準:総得点が70%以上(調整あり)

一日の試験スケジュール(例)

午前9:40–10:40:学科(一般)

11:10–12:10:学科(専門)

昼休憩後、13:10–14:25:実技Ⅰ

14:55–16:10:実技Ⅱ

学科間・実技間には30分程度の休憩あり

7.合格後の流れと研修

合格後の手続き

試験に合格した後は、気象庁長官への登録申請が必要です。合格通知とともに送付される合格証明書を基に、オンラインまたは書面で登録申請を行い、約2週間の審査を経て「登録通知書」が送付されます。この通知書を受け取って初めて、正式に「気象予報士」として活動できます。

研修制度

公式情報では、合格後に必須となる研修等は明記されていません。ただし、気象業界や関連団体によって自主的な研修や活動支援がある可能性があるため、別途確認が必要です。

8.資格取得のメリット

国家資格としての信頼性:気象予報士は法的に位置づけられた国家資格で、予報業務に関わるうえで法的要件を満たす強力な証明になります。

多様な活躍分野:「民間気象会社」やテレビ局などのメディア、「防災」「環境」「自然エネルギー」など幅広い分野での専門的役割が期待されます

高度な専門知識の証明:大気物理や数値予報、災害対応などの専門的知識・技能が求められるため、取得は専門性の証といえます。

自己啓発、キャリア形成に資する:受験・学習過程そのものが、気象解析力や科学リテラシー向上につながります。

9.まとめ

気象予報士試験は、気象に関する深い理論知識と高度な実務スキルを併せ持った専門職の証明として、国家資格に位置づけられています。受験資格は一切制限がなく、さらに試験は年に二回、ほぼ定期的に開催されるため、誰でもチャレンジ可能な試験です。

試験内容は、学科(一般・専門)および実技の三本柱から構成され、いずれも高度な内容で、特に実技では天気図の読み解きや緊急時対応の予測能力が問われます。合格基準は学科が11問以上の正解、実技は70%以上得点と明確であり、かつ国家試験らしい厳格さがあります。

合格後には、気象庁への登録を経て正式に「気象予報士」として活動できるようになります。取得によって得られるメリットは法的な信頼性、専門職としての幅広い活躍可能性、高い専門性の証明など、多岐にわたります。

このように、気象予報士試験は、自らの専門性を極めるための道筋として魅力的で意義のある資格であるといえるでしょう。

10.ホームページ

一般財団法人 気象業務支援センター

https://www.jmbsc.or.jp/jp/examination/examination-3.html