資格の王様SHIKAKU KING 100

管理業務主任者試験

1.管理業務主任者試験とは

管理業務主任者は、分譲マンションなどの「管理組合」と「管理会社」との間に立ち、契約内容や重要事項を適正に説明・確認し、円滑な管理運営をサポートするための国家資格者です。

この資格は、マンション管理適正化法(正式名称:マンションの管理の適正化の推進に関する法律)に基づいて設けられており、マンション管理会社(管理業者)は一定数の管理業務主任者を事務所ごとに設置する義務があります。

管理業務主任者は、主に以下の3つの業務に従事します。

管理委託契約を締結する前の重要事項の説明

管理事務に関する報告書の作成と交付

上記の実施についての管理組合への説明・助言

マンションは集合住宅であるがゆえに、所有者同士の合意形成や管理業務の適正実施が欠かせません。管理業務主任者は、その適正な運営を法的・実務的に支える専門家であり、近年のマンションの高経年化・大規模化に伴って、ますます重要性が高まっています。試験合格後に「登録」して管理業務主任者として業務を開始するには、「実務講習」の修了または「2年以上の実務経験」が必要です。試験の実施・運営は、公益財団法人マンション管理センターが行います。

他のマンション管理に関する資格として、「マンション管理士」があります。「管理業務主任者」は、マンション管理業者がマンション管理業を営む際に設置が義務づけられる専門知識を有するもので、「マンション管理士」は、マンションの管理組合等の相談に応じ助言、指導その他援助を行うことを業務とするものです。

2.受験資格

管理業務主任者試験には、受験資格の制限はありません。年齢・性別・学歴・実務経験などにかかわらず、誰でも受験できます。

これは、他の不動産系資格(宅建士やマンション管理士など)と同様であり、社会人や学生、主婦、定年退職後の学習者まで、幅広い層に開かれた国家試験となっています。

3.試験日程(例年のスケジュール)

受験申込:7月下旬〜9月中旬

試験日:12月上旬

合格発表:1月下旬〜2月上旬

4.試験地

管理業務主任者試験は、以下で実施されます。

北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県及び沖縄県並びにこれらの周辺地域

5.受験手数料

8,900円

6.試験内容(詳細)

試験は、四肢択一のマークシート式(50問)で構成され、試験時間は120分です。全問1問2点、100点満点で評価されます。

【出題分野】

1.管理事務の委託契約に関すること

民法(「契約」及び契約の特別な類型としての「委託契約」を締結する観点から必要なもの)、マンション標準管理委託契約書等

2.管理組合の会計の収入及び支出の調定並びに出納に関すること

簿記、財務諸表論 等

3.建物及び附属設備の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整に関すること

建築物の構造及び概要、建築物に使用されている主な材料の概要、建築物の部位の名称等、建築設備の概要、建築物の維持保全に関する知識及びその関係法令(建築基準法、水道法等)、建築物の劣化、修繕工事の内容及びその実施の手続に関する事項等

4.マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること

マンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンション管理適正化指針 等

5.その他、管理事務の実施に関すること

建物の区分所有等に関する法律(管理規約、集会に関すること等管理事務の実施を行うにつき必要なもの)等

7.合格後の流れと研修

試験に合格した後、「管理業務主任者」として業務に就くには、以下の手続を経る必要があります。

【1】登録申請

合格者は、公益財団法人マンション管理センターを通じて、国土交通大臣の管理業務主任者登録を受けます。

登録料:17,000円

登録期間:なし(更新不要)

※登録には、次のいずれかの要件が必要です:

実務経験2年以上

国土交通省指定の「実務講習」修了(通常は通信+1日スクーリング)

実務経験がない場合は、実務講習(約15,000円程度)を受講することで登録が可能となります。

【2】業務従事

登録完了後は、「管理業務主任者証」が交付され、正式に主任者としてマンション管理業務に従事することができます。

8.資格取得のメリット

管理業務主任者資格の取得には、以下のようなメリットがあります。

【① マンション管理会社への就職・転職に有利】

法律上、管理会社には事務所ごとに5分の1以上の管理業務主任者の設置義務があり、有資格者のニーズは常に存在しています。特に都市部や大手不動産グループの管理会社では、採用条件や昇進要件に含まれることもあります。

【② 宅建士・マンション管理士との相乗効果】

宅地建物取引士やマンション管理士と試験科目が共通しているため、効率的に複数資格を取得でき、キャリアアップや独立への道が広がります。

【③ 実務に直結した実践的知識の習得】

合格のための学習は、管理組合との契約手続、会計処理、建物設備の知識など、実際の業務に直結しており、現場で即戦力として活用できます。

【④ 働きながらでも合格が目指せる】

試験内容はやや専門的ですが、独学や通信講座での合格者も多数います。出題傾向が安定しているため、計画的な学習で合格に到達しやすい資格です。

9.まとめ

管理業務主任者試験は、マンション管理の現場を法律・実務両面から支える専門職への登竜門です。国家資格としての信頼性が高く、マンション管理会社における法的必置資格という地位から、安定したニーズと実務的価値を有しています。

近年、マンションの老朽化や管理組合の高齢化・人材不足といった社会課題に対応するうえで、管理業務主任者の果たす役割はますます大きくなってきています。

不動産・建築・法律に関心があり、専門性を身につけたいと考える方にとって、管理業務主任者資格は非常に魅力的で、実務でも活用しやすい国家資格といえるでしょう。