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測量士・測量士補試験

1.測量士・測量士補試験とは

測量士および測量士補は、国土交通省所管の国家資格であり、測量法に基づいて業務を行うために必要とされる技術資格です。

測量とは、土地の位置や高さ、面積、形状などを正確に測る作業を指し、地図作成、建設工事、都市計画、災害対策、不動産登記など、社会基盤を支えるさまざまな分野で欠かせない作業です。

このうち、「測量士」は測量計画を立案し、指導・監督する立場にあります。一方、「測量士補」は測量士の指示のもとで測量作業を補助的に行う技術者です。どちらも専門性の高い職種であり、公共測量などの法的要件に基づく業務では、これらの有資格者の関与が求められています。

なお、資格取得には、文部科学省認定の大学や専門学校での所定課程の修了、または国家試験への合格が必要となります。ここでは、主に国家試験による取得ルートを中心に紹介します。

2.受験資格

測量士試験および測量士補試験は、いずれも受験資格に制限はありません。年齢、学歴、実務経験、国籍などを問わず、誰でも受験することができます。

ただし、測量士補の資格を取得するには、測量士補試験に合格するか、もしくは国土交通大臣の登録を受けた指定校において所定のカリキュラムを修了する必要があります。

一方、測量士については、測量士補として一定年数以上の実務経験を積んだうえで申請するルートも存在しますが、ここでは国家試験による取得を主に取り上げます。

3.試験日程(例年のスケジュール)

測量士試験および測量士補試験は、年に1回、国土交通省が主催し、一般財団法人国土地理協会が試験事務を行っています。例年、以下のようなスケジュールで実施されます。

試験公告:1月下旬〜2月初旬

受験申請期間:2月初旬〜3月上旬

試験日:5月中旬

合格発表:9月上旬

4.試験地

試験会場は年度によって変更の可能性がありますが、以下の都道府県で実施されます。

北海道、宮城県、秋田県、東京都、新潟県、富山県、愛知県、大阪府、島根県、

広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県

5.試験手数料

測量士試験 4,250円

測量士補試験 2,850円

6.試験内容(詳細)

測量士試験および測量士補試験は、ともに筆記試験で構成されていますが、その内容・難易度には大きな差があります。

測量士試験の内容

測量士試験は、記述式の筆記試験です。試験時間は5時間で、主に以下のような内容が出題されます。

【出題範囲】

測量に関する法規

測量機器とその使用法

基準点測量、水準測量、地形測量

写真測量(空中写真測量含む)

GIS(地理情報システム)

地図の編集・調整

測量計画・工程管理

測量誤差とその調整法

応用測量(用地測量、深浅測量など)

【試験形式】

午前の試験は択一式で、出題数は28問です。

午後の試験は記述式で、出題数は必須問題1題(設問数4問)と選択問題4題(基準点測量、地形・写真測量、地図編集、応用測量とし、設問数をそれぞれ3問)のうち2題を選択する計10問です。

測量士補試験の内容

試験は、択一式で、出題数は28問です。マークシート方式で試験時間は3時間です。

【出題範囲】

測量法および測量関係法令

測量機器の基礎知識

各種測量の概要(基準点、地形、水準、写真測量等)

誤差と精度、計算問題

測量成果品に関する知識

GIS、地図情報の基礎

7.合格後の流れと研修

合格後、登録申請を行うことで「測量士」または「測量士補」として正式に活動することができます。登録は、国土地理院に対して行い、登録完了後に「登録証」が交付されます。

【登録手続きの概要】

必要書類:合格証明書、申請書、住民票など

登録料:測量士 約17,000円/測量士補 約15,000円(年度による)

登録完了までの期間:申請から1〜2か月程度

また、測量士として業務を開始するためには、測量業者への所属、または測量業者としての登録が必要です。公共測量を請け負うには、国土地理院への「測量業者登録」も義務付けられています。

新規登録後に義務づけられた研修制度はありませんが、各都道府県測量協会や民間の測量会社などで実務研修を受けることが推奨されています。

8.資格取得のメリット

測量士・測量士補の資格を取得することで、以下のような多くのメリットが得られます。

第一に、公共測量業務において資格者として計画立案・業務遂行に直接関与できることです。とくに測量士は、法律上の「責任者」としての立場を担うことができ、業界での信頼性が非常に高まります。

第二に、建設業界、地図製作業界、不動産関連業界など、幅広い分野で活躍できる点が挙げられます。都市計画、土地開発、インフラ整備、災害復興など、測量が関係する分野は極めて広範です。

第三に、近年のドローン測量や3Dレーザー計測、地理空間情報システム(GIS)などの技術進化により、測量の専門知識を持つ技術者の需要は増加傾向にあります。特に自治体や建設コンサルタントでは、有資格者の採用を積極的に進めている傾向があります。

第四に、独立開業も視野に入れることができる点です。測量事務所を開設し、自治体や民間企業から業務を受託することも可能です。実務経験と人脈を活かせば、安定した収入が見込まれます。

9.まとめ

測量士・測量士補は、国土や地理空間に関する専門的知識を活かして、社会のインフラ整備や防災、都市開発、不動産取引などに深く関与する国家資格です。とくに測量士は、測量計画の立案から指導・監督までを行う責任ある立場であり、公共事業において欠かせない存在です。

試験は難易度が高く、測量技術・法令・計算力・応用力など総合的な理解が求められますが、地道な学習と過去問対策を継続すれば、十分に合格可能です。

測量技術は目立たない分野ではありますが、正確な測量なしに都市も道路も建物も成り立ちません。社会を根底から支える誇りある職業として、測量士・測量士補は今後も高い需要と意義を持ち続けるでしょう。