89二級建築士試験
1.二級建築士試験とは
二級建築士試験は、住宅や小規模な建築物(木造、RC、重量鉄骨造など)の設計・工事監理を行うために必要な国家資格であり、建築士法に基づいた国家試験です。対象となる建築物は次のとおりです:
延床面積500 m²以下の木造建築物
延床面積300 m²以下の非木造または準耐火建築物
平屋または2階建てであっても、延床面積・軒高・建物高さの制限があります
この資格は一級建築士に比べて取得しやすく、合格率は約25%前後と比較的高めです。そのため、設計士を目指す方や住宅関連の業務を担う方にとって実用的な第一段階となります。
2.受験資格
二級建築士試験には受験資格がありますが、改正により実務経験が不要となり、学歴等によって条件が異なります。
(1)学歴・資格によるルート
大学・短大・高専などで指定科目を修めて卒業:実務経験なしで受験可能です
建築設備士資格保有者:同様に実務経験不要で受験可能です。
(2)高校卒業者
指定科目を履修して卒業した場合、2年以上の実務経験があれば受験できます
指定科目の履修が少ない場合は条件が厳しくなります(要確認)。
(3)学歴なし
該当しない場合は、建築関連の実務経験が7年以上なければ受験できません
3.試験日程(例年のスケジュール)
令和7年度(2025年)のスケジュールは以下のようになります
受験申込:4月1日(火)10:00~4月14日(月)16:00(郵送は4月18日まで)
設計製図課題発表:6月18日(水)
学科試験 受験票発行:6月20日(金)頃
学科試験日:7月6日(日)
学科合格発表 & 製図受験票発行:8月25日(月)
製図試験日:9月14日(日)
製図合格発表:12月2日(火)
受験手数料は18,500円(非課税)で、申込はウェブの「マイページ」で行います
4.試験地
試験は全国の主要都市で実施され、受験申込時に希望する都道府県を選択できます。学科・製図ともに同一都道府県内の複数会場が設けられ、受験票に会場が通知されます。
5.受験手数料
18,500円
6.試験内容(詳細)
二級建築士試験は「学科」と「設計製図」の2段階試験で構成されます。
6‑1 学科試験
学科試験はマークシート方式(五肢択一)で、全100問、6時間です。以下の4科目から構成されています
学科Ⅰ:建築計画(25問)
学科Ⅱ:建築法規(25問)※法令集を持ち込み可能
学科Ⅲ:建築構造(25問)
学科Ⅳ:建築施工(25問)
合格基準は各科目および総得点で基準点をクリアする必要があり、総得点は60点(6割)が目安です
6‑2 設計製図試験
学科試験に合格した者のみが受験できる設計製図は、制限時間5時間の記述試験です。
課題は住宅や小規模施設(例:シェアハウス)の設計
図面(平面・立面・伏図・矩計図)と計画要点の記述が求められます
評価基準は「法令への適合」「計画の合理性」「図面の表現力」などです。
学科試験合格後、5年以内に製図試験を3回まで学科合格免除で挑戦できます。
7.合格後の流れと研修
登録手続き
合格後、都道府県知事宛に登録申請をすることで「二級建築士免許」が交付されます 。そののち建築士事務所登録(就職時や独立時に必要)
定期講習(3年ごと)の受講義務あり
実務研修
登録後は設計事務所や建設会社で、OJT研修や現場経験を通して実務力を養います。定期講習を通じて最新法令や実務スキルもアップデートします 。
8.資格取得のメリット
二級建築士資格には多くのメリットがあります。
業務独占:許容範囲内の建築設計と工事監理が可能になります 。
就職・キャリアアップに有利:設計事務所、建設会社、住宅メーカーなどで即戦力として評価されます。合格率約25%は職務能力の証明ともなります
一級建築士へのステップ:二級を取得すれば一級建築士試験の受験資格が得られ、キャリアを広げる道が開けます
独立・開業も可能:設計事務所として独立し、自ら案件を受け持つこともできます。
専門知識の強化:法規・構造・施工・計画など幅広い建築知識を習得し、現場対応力が高まります。
9.まとめ
二級建築士試験は、学科試験(100問・6時間)と記述式の設計製図試験に分かれており、学科合格率は約25%、製図検定も含めた最終合格率は10〜15%程度です。学歴によっては実務経験0年でも受験可能となっており、門戸が広がっています。
資格を取得することで、扱える建築物の設計・監理が可能になり、就職・転職、将来的な一級建築士への道、独立開業など、多方面に活躍の場が広がります。建築に興味がある方にとって、非常に価値ある資格といえるでしょう。
10.ホームページ
建築技術教育普及センター

