90電気工事士試験
1.電気工事士試験とは
電気工事士は、電気工事士法に基づき、一般家庭・商店などの低圧配線から、小規模なビルや工場などの高圧受電設備工事までを対象に、安全な電気工事を行うために義務づけられる国家資格です。高度な知識と技能を備えた専門技術者として、電気工事の欠陥による災害防止に社会的な役割があります
資格区分は「第一種」と「第二種」の2種類です。
第二種電気工事士は、低圧で受電する一般家庭や店舗、太陽光発電設備などの工事に従事でき、技術者の登竜門的な位置づけです。
第一種電気工事士は、第二種の範囲に加えて、より高い責任と技能を伴う、ビルや工場などの高圧受電設備に関する工事にも対応できる上位資格です。
2.受験資格
第二種電気工事士には、学歴・年齢・職歴による受験資格の制限はありません。誰でもチャレンジでき、国家資格として広く門戸が開かれています。
第一種電気工事士も、試験自体に受験資格制限はありません。ただし、免状(資格証明書)を取得するには、所定の実務経験が必要となります(詳細は6番参照)
3.試験日程(例年のスケジュール)
第二種電気工事士 試験日程(2025年度/令和7年度)
上期
申込期間:3月17日〜4月7日
学科試験:
CBT方式:4月21日〜5月8日
筆記方式:5月25日(日)
技能試験:7月19日(土)または7月20日(日)
申込み試験
下期
申込期間:8月18日〜9月4日
学科試験:
CBT方式:9月19日〜10月6日
筆記方式:10月26日(日)
技能試験:12月13日(土)または12月14日(日)
第一種電気工事士 試験日程(2025年度/令和7年度)
上期
申込期間:2月14日〜3月3日
学科試験:CBT方式のみ(4月1日〜5月8日)
技能試験:7月5日(土)
下期
申込期間:7月28日〜8月14日
学科試験:
CBT方式:9月1日〜9月18日
筆記方式:10月5日(日)
技能試験:11月22日(土)
4.試験地
試験は全国47都道府県で実施されます。学科試験(筆記方式)および技能試験では、各都道府県内に複数の試験会場が設けられ、CBT方式の学科試験では、受験者がマイページ上で会場と時間を選択する仕組みです
受験票は、筆記方式の場合、試験日の約2週間前に発送されます。CBT方式では受験票は発送されず、マイページでの確認となります
5.受験手数料
第一種電気工事士試験10,900円
第二種電気工事士試験9,300円
6.試験内容(詳細)
第二種電気工事士
学科試験(CBT・筆記)は、50問で構成され、60点以上(60%以上の正答)が合格基準です(50問中30問以上の正解が必要)
技能試験では、指定された配線図に従い、時間内に欠陥なく施工できるかを評価されます。1つでもミスがあると不合格となるため、高い正確性が求められます
学科試験の免除制度:以下に該当する場合、学科試験が免除になることがあります:
前回試験の学科試験に合格している
高等教育機関で一定の電気工学課程を修了している
各種技術系国家資格(電気主任技術者など)を保有している。
学科合格の有効期限:上期に学科合格した場合は、その年度の下期および翌年度上期でも免除対象となります(下期も同様に翌年分含む)
第一種電気工事士
学科試験(CBT・筆記)と技能試験があり、第一種も第二種と同様の形式で実施されています。
7.合格後の流れと研修
第二種電気工事士の場合
学科と技能に合格すると、都道府県知事に免状交付申請が可能になります。申請に際しては合格通知書(ハガキ)が必要で、申請から免状発行までに約2週間〜1か月程度かかります。
免状取得後は、特に更新義務も定期講習もなく、長期間有効です。資格取得後すぐに実務に従事できます。
第一種電気工事士の場合
試験合格後、免状を取得するには「3年以上」の実務経験が必要です。その実務経験には軽微工事や特殊工事、一部保安通信設備などは含まれません(対象外の工事あり)
実務経験の証明として「実務経験証明書」が必要で、勤務先代表者の印が必要になるなど手続きには注意が必要です。
免状取得後も「5年ごとの定期講習」の受講が義務です。講習を怠ると返納命令を受ける可能性があります。
8.資格取得のメリット
社会的信頼と安定性:国家資格としての信頼性が高く、電気工事に関わる仕事に従事できる唯一の資格とされており、社会的価値が高いです
第二種は取得しやすく、実務に直結:制限が少なく、合格後すぐに実務に入れるため、スムーズなキャリア構築が可能です
第一種は幅広い工事に対応可能:より高度で規模の大きな電気工事が可能となり、就職・昇進に有利で、工事品質の高い施工が求められます
安定した収入・手当の可能性:第二種取得者は、電気工事会社・ビルメンテ会社などで重宝され、資格手当や転職市場での評価向上が期待できます
電気工事士試験は、日本の電気工事業務に不可欠な国家資格制度であり、第二種電気工事士は「安全な低圧配線工事」に従事するための第一歩として、広く門戸が開かれている登竜門です。学歴や年齢制限がなく、学科および技能という明確な形式で構成され、合格すれば免状取得が容易で、すぐに実務に入れるメリットがあります。
一方、第一種電気工事士はより広く規模の大きい工事に対応し得る高度な資格です。試験の難易度も上がりますが、その分キャリアの幅が広がります。合格後は3年以上の実務経験と5年ごとの定期講習が必要であり、手続きも慎重に進める必要があります。
いずれの試験も年2回(上期・下期)の実施がなされ、受験の計画が立てやすく、受験者にとって人気かつ取得意義の高い資格です。特に第二種取得を足がかりとして、将来的に第一種や電気主任技術者へとステップアップする道筋も明確に見えてきます。
10.ホームページ
一般財団法人電気技術者試験センター

