91電気主任技術者試験
1.電気主任技術者試験とは
電気主任技術者は、電気事業法に基づき、高圧または特別高圧で受電するビル・工場・発電所・変電所・送電線などの事業用電気工作物において、設置者に代わり電気設備の工事・維持・運用に関する保安の監督を行う国家資格です。自主保安体制の中核を担うキーパーソンとして、公共の安全確保や環境保全に極めて重要な役割を果たします
資格には3区分があり、扱える電圧や業務範囲によって以下の通りです。
第一種:すべての事業用電気工作物に対応可能
第二種:電圧17万ボルト未満の施設
第三種:電圧5万ボルト未満(出力5,000 kW以上の発電所を除く)
各区分により試験形式、難易度、業務範囲、取得後の義務・手続きなどに違いがあります。
2.受験資格
電験には、明確な受験資格制限は設けられていません。学歴や経歴にかかわらず、だれでも受験可能です。ただし、資格取得(免状交付)に際しては実務経験の条件や手続きが異なります。
第三種:試験に合格すれば比較的早期に免状を取得可能(詳細は後述)。
第一種・第二種:試験の受験自体には制限はないものの、合格後の免状交付には所定の要件(例:実務経験など)が必要となる場合があります。
3.試験日程(例年のスケジュール)
第三種(電験三種)
令和7年度(2025年度)の上期・下期の実施スケジュールは以下の通りです
上期
申込受付:5月19日(月)10時 ~ 6月5日(木)17時
一次試験(CBT方式):7月17日(木)~8月10日(日)
一次試験(筆記方式):8月31日(日)
二次試験:11月16日(日)
受験料:CBT/筆記方式ともにインターネット7,700円・書面8,100円
下期
申込受付:11月10日(月)~ 11月27日(木)
一次試験(CBT):令和8年2月5日(木)~3月1日(日)
一次試験(筆記):令和8年3月22日(日)
二次試験:上期共通
受験料:同上
第一種
令和7年度の実施スケジュールは以下の通りです
申込受付:5月19日(月)10時 ~ 6月5日(木)17時
一次試験(筆記方式):8月31日(日)
二次試験(筆記方式):11月16日(日)
受験料:インターネット13,800円・書面14,200円
※第二種も同日程内に実施されています(詳細は当該案内に基づきます)。
4.試験地
CBT方式では、全国47都道府県に多数の試験会場が設置され、受験者はマイページ上で会場と日時を自由に選択・調整可能です。
ただし、希望日時や会場が埋まっている場合は選べないケースもあるため、早めの予約を推奨します。
筆記方式については、あらかじめ指定された会場(都道府県内の公共施設など)で一斉に実施されます。受験票は試験日の約2週間前に発送されます。
5.受験手数料
第一種:13,800円(インターネット申込み)14,200円(郵送で書⾯の申込み)
第二種:13,800円(インターネット申込み)14,200円(郵送で書⾯の申込み)
第三種:7,700円(インターネット申込み)8,100円(郵送で書⾯の申込み)
6.試験内容(詳細)
一次試験(第一種~第三種共通)
すべての種別で共通の4科目が課され、科目別合格制度(科目合格留保制度)が適用されます。
具体的内容は以下の通り:
科目
理論(電気・電子理論、電気計測、電子計測)
電力(発変電所・送配電・電気材料など)
機械(電機機器・制御・パワエレ・照明・電熱など)
法規(電気法規・施設管理)
形式
マークシートまたはCBTによる五肢択一方式(記述はなし)
科目合格制度
一部科目の合格も認められ、最長3年間(認可範囲あり)で残り科目の受験免除が可能
二次試験(第一種・第二種のみ)
科目
電力・管理(設計・運転・施設管理など)
機械・制御(機器・制御方法など)
形式
記述方式。科目合格制度はなく、一次試験合格年度に再度受験し、両科目に合格する必要あり
7.合格後の流れと研修/免状交付
資格取得の流れ
免状交付申請:試験合格後、所定の手続きを経て経済産業大臣名義の免状が交付されます。試験センターがその事務を代行します
実務経験:第三種では比較的早期に交付される傾向がありますが、第一種・第二種では免状申請にあたり、一定期間の実務経験が要件になることがあります(詳細は資料により異なるため、別途確認が必要)。
更新・講習義務
第三種には継続的な講習義務などはないケースが多いです。
第二種・第一種では、場合により定期講習などが義務付けられることがあります(詳細は公式サイトや関連法令で確認)。
認定校卒業者:一部科目の単位修得とみなされるケースがあります。修得が不明な場合は、学校発行の単位証明書を要確認
電卓の使用制限:試験では関数電卓など高度機能の電卓は禁止。四則演算と開平(√)ができる電卓を使用する必要があります(使用不可な電卓は不正行為とみなされます)
8.資格取得のメリット
社会的責任と専門性の証明:電気の安全管理を担う国家資格として、技術力・信頼性の証明につながります。
業務範囲の選択肢:第三種から第一種へ段階的なステップアップが可能で、対応できる電圧・施設規模が広がります。
科目合格制度の活用:長期的な学習・スケジュール調整が可能な点が、受験者の負担軽減になります。
免状の一種の就業資格:事業用電気工作物の管理責任者として法令に基づく選任が可能となり、技術系のキャリア形成において強力な資産となります
9.まとめ
電気主任技術者試験(電験)は、国家の電気保安体制を支える中核人材を認定する国家資格制度です。第三種から第一種へと段階的に取得を目指す道筋が整備されており、学科・二次試験形式、免状取得時の条件にも明確さがあります。
受験は誰でも可能であり、学科試験は科目合格制度があり、3年間の猶予期間を活用して合格を目指せる。
第一種・第二種では、二次試験(記述方式)に合格する必要があり、一次免除制度も活用できる。
試験は年2回(上期・下期)実施され、CBT方式により柔軟な受験スケジュールの調整も可能です。
資格取得後は、免状交付を通じて正式に主任技術者として選任されることができ、法的責任と実務への道が開かれる。
このように、電験は制度として高度な安全管理人材を育成する仕組みとして整備されており、技術職としてのキャリア構築において非常に価値が高いといえます。

