資格の王様

79衛生管理者試験

1.衛生管理者試験とは

衛生管理者試験は、労働安全衛生法に基づき制定された国家資格であり、事業場における労働者の安全と健康を確保するため、衛生管理者を選任する必要がある事業者に対し、その要件となる有資格者を認定する試験です。

衛生管理者には業務対応の範囲によって「第一種」と「第二種」があり、それぞれ対象となる業種や職務範囲に違いがあります。

2.受験資格

第一種・第二種衛生管理者試験には受験資格が定められており、主な要件は以下の通りです。

大学・短大・高専卒+労働衛生の実務経験が1年以上

高校卒業(または高卒認定)+労働衛生の実務経験が3年以上

労働衛生の実務経験が10年以上

※ 第一種・第二種いずれも同様の受験資格条件となっています。

受験の際には、労働衛生の実務経験を証明する「事業者証明書」の提出が求められます。必要書類は所属事業場の代表者や人事部門などが作成し、提出します。 

3.試験日程(例年のスケジュール)

衛生管理者試験は、全国7つの安全衛生技術センターおよびそれを補う出張試験形式で、毎月1~3回程度開催されています。 

2025年(令和7年)〜2026年(令和8年)にかけては、毎月全国で実施が予定されており、会場により日程が異なります。 

試験会場ごとの例(日程):

関東センター(市原会場)は1月下旬〜3月中旬にかけて複数回実施。 

北海道・東北など各センターでも、1月〜3月を中心に連続して実施されています。

公益財団法人 安全衛生技術試験協会

4.試験地

衛生管理者試験は、以下の7つの安全衛生技術センターで常時実施されています:

北海道センター(北海道恵庭市)

東北センター(宮城県岩沼市)

関東センター(千葉県市川市)

中部センター(愛知県東海市)

近畿センター(兵庫県加古川市)

中国四国センター(広島県福山市)

九州センター(福岡県久留米市) 

さらに、出張試験として各都道府県等でも随時開催されています。詳細な試験会場と日程は、安全衛生技術試験協会の公式サイトで要確認です。

東京都内では、2024年4月より東京都港区の「関東安全衛生技術センター東京試験場」で受験が可能になりました。アクセスは浜松町・大門・竹芝など複数駅から便利です。

5.試験手数料

8,800円

6.試験内容(詳細)

大きく分けて2種類の試験科目構成です:

第一種衛生管理者

関係法令(有害業務に係るもの):10問(80点)

関係法令(有害業務以外):7問(70点)

労働衛生(有害業務に係るもの):10問(80点)

労働衛生(有害業務以外):7問(70点)

労働生理:10問(100点)

試験時間は原則3時間、科目免除者は2時間15分。 

第二種衛生管理者

関係法令(有害業務除く):10問(100点)

労働衛生(有害業務除く):10問(100点)

労働生理:10問(100点)

試験時間は原則3時間、科目免除者は2時間15分。 

科目ごとに正答率40%以上、かつ全体正答率60%以上を満たす必要があります。

7.合格後の流れと研修

合格通知と免許申請

試験に合格すると、合格通知書が送付され、免許申請書も受験当日に交付されます。これらを使って、衛生管理者の免許証(緑色のカード)が発行されます。 

免許証の申請方法

合格後、申請書・効力写真・収入印紙・合格通知書などの必要書類を揃え、免許申請を行います。封筒・切手なども規定通り準備し、簡易書留で郵送するのが一般的な流れです。 

有効期限・講習

衛生管理者免許は国家資格であり、有効期限はありません。また、更新や定期講習の制度は特にありません。 

8.資格取得のメリット

法的な選任要件を満たせる:常時50人以上(事業規模により異なる)の事業場では衛生管理者の設置が義務であり、資格取得は必須です。 

種による対応範囲:第一種はすべての業種に対応可能、第二種は有害業務の少ない業種に限定されます。

キャリア向け/企業対応:労務・人事・産業保健分野での専門性の証明となり、事業者としての安全衛生体制確立にも直結します。

科目免除など制度が柔軟:条件に応じた科目免除制度なども活用可能で、受験負担の軽減につながります。

9.まとめ

衛生管理者試験は、事業場に必須の国家資格として、安全衛生上極めて重要な位置づけです。第一種・第二種の2区分に分かれ、それぞれ対応できる業種や取り扱う内容に差があります。受験には学歴と労働衛生の実務経験が条件となり、試験は全国7つのセンターや出張試験場で、年間を通じて複数日程で開催されます。

試験内容は法令・衛生・生理の知識を問うもので、科目ごとの正答率40%以上および総合60%以上が合格ラインです。合格後は免許申請を経て免許証が交付され、有効期限はなく更新不要というメリットもあります。衛生管理者の資格取得により、職場の安全衛生体制に不可欠な専門人材として活躍できるようになります。

10.ホームページ

安全衛生技術試験協会

https://www.exam.or.jp/introduction/h_shokai502/