94消防設備士試験
1.消防設備士試験とは
消防設備士試験は、消防用設備等や特殊消防用設備等の「工事・整備・点検」に携わる技術者を国家資格として認定する試験です。建物の防火・安全に欠かせない設備に関する
専門性を担保し、事業者や設備保守業者に法的義務として求められます。
資格には以下の区分があります:
甲種
甲種特類:特殊消防用設備等に対応。工事・整備・点検が可能。
甲種1〜5類:各類に対応する消防用設備等で工事・整備・点検が可能
乙種(6・7類):
整備・点検にのみ従事可能。対象は消火器(第6類)、漏電火災警報器(第7類)など
2.受験資格
乙種:誰でも受験可能。学歴・経験等の制限はありません
甲種(特類以外):
以下のいずれかを満たす必要があります
既に他の甲種類の免状を所持している者。
乙種免状取得後2年以上、該当設備の工事補助経験がある者。
国家資格等を有する者(技術士、電気工事士、電気主任技術者など)。
機械・電気・建築関連の学歴保持者。
消防行政に関する3年以上の実務経験。
旧制度の消防設備士免状所持者など。
甲種特類:
甲種1〜3類いずれかと、甲種4類および5類の計3種類以上の甲種免状所持者のみが受験可能です。
3.試験日程(例年のスケジュール)
消防設備士試験は 例年、前期・後期に分けて実施されます。
各都道府県支部および東京都中央試験センターで行われ、試験日程や受付期間は都度異なるため、公式サイトの「試験日程一覧」より確認が必要です。
例:東京都の中央試験センターでは、2025年前期に「4/6・4/12・5/18・5/25」など複数の試験日程が設定されており、申請受付期間も試験種類・類別ごとに異なります
s4.試験地
試験は 全国の都道府県支部および 東京都の中央試験センターで実施されます
全国どこでも受験可能ですが、具体的な会場(学校・公共施設など)は各支部の案内や受験票にて確認が必要です。
5.試験手数料
甲種 6,600円
乙種 4,400円
6.試験内容(詳細)
試験形式
筆記試験:四肢択一のマークシート方式(全種共通)
実技試験:写真・イラスト・図面による記述式
試験時間:
甲種特類:2時間45分
甲種(特類以外):3時間15分
乙種:1時間45分
※免除がある場合は時間が短縮されます
科目・出題数(甲種・乙種別)
試験科目と問題数の概要は以下の通りです
消防試験研究センター
甲種(特類・1〜5類):
工事設備対象設備等の構造・機能・工事・設備(15問)
火災及び防火(15問)
消防関係法令(15問+類別共通など)
基礎知識(機械/電気)や構造・整備・規格など(合計:45問)
実技も:鑑別等・製図など。
乙種(6・7類):
消防関係法令(共通+類別)
基礎知識(機械/電気)
構造・整備・規格に関する問題、計30問
実技:鑑別等5問。
合格基準
甲種特類:各科目40%以上および全体60%以上で合格
甲種(特類以外)・乙種:筆記試験で各科目40%以上かつ全体60%以上、かつ実技試験で60%以上を獲得すると合格
7.合格後の流れと研修
合格発表:各支部ごとに受験番号をホームページで公示。合格者には郵送で合否通知が届きます。
免状交付申請:合格後は免状交付の申請を行い、消防設備士免状(国家資格証)が交付されます。
講習義務:取得後は、新しい知識・技能取得のため、定期的に都道府県知事指定の講習を受講する義務があります。
8.資格取得のメリット
法的要件を満たせる:劇場・ホテル・デパートなど、用途・規模に応じて義務付けられた消防用設備の「工事・整備・点検」が可能となります
業務範囲の明確化:甲種であれば工事も点検も対応可能、乙種は点検・整備に対応可能で、対応できる設備が免状に記載されるため、責任範囲が明確です。
専門性の証明:防火・安全分野のプロフェッショナルとして、就職・転職時の強みになります。
法令遵守体制強化:事業者として信頼性や安全体制を訴求でき、責任体制の構築に寄与します。
9.まとめ
消防設備士試験は、消防設備の工事・整備・点検に関する国家資格試験であり、建築物の防災安全に直結する重要な役割を担っています。甲種と乙種に分かれ、資格区分ごとに業務範囲が法的に整理されています。
乙種は誰でも受験可能で、点検・整備に対応。
甲種は一定の資格・実務経験・学歴等の条件があり、工事も対応可能。特に特類は高い専門設備に対応。
試験は前期・後期の年2回で、全国の支部または中央試験センターで実施。筆記・実技の2段階で評価され、合格後には免状交付と定期講習が免託されます。この資格により、防災分野における高度な専門性と法令対応力を備えた技術者となれる点は大きな魅力です。
10.ホームページ
一般財団法人消防試験研究センター

