資格の王様

97技術士試験

1.技術士試験とは

技術士試験は、技術士法に基づき実施される国家資格試験であり、科学技術に関する高度な専門的知識と応用能力を評価するものです。まずは「第一次試験」に合格し、その後一定の実務経験を積んだうえで「第二次試験」に合格し、登録を経て「技術士」として認められます。また、第一次試験に合格した段階では「技術士補」として登録することも可能で、これは技術士を補助しながら実務経験を積む制度的な位置づけです。

2.受験資格

第一次試験(技術士補相当)

受験資格に年齢・学歴・実務経験などの制限は一切なく、誰でも受験可能です。

これに合格すると「技術士補」として登録申請が可能となり、登録を経て技術士試験の次段階へ進む道が開かれます。

技術士補

技術士補とは、第一次試験に合格(または文部科学省指定教育課程の修了)し、指導技術士の下で修習を行う者を指します。技術士補は、技術士の補助活動を通して技能を身につける制度上の位置づけで、名称使用や実務経験の一部として評価されます。

3.試験日程(例年のスケジュール)

第一次試験:例年、11月に実施されます。

第二次試験:例年、7月に実施されます。

詳細な年度別日程や申込受付期間、試験地などは、日本技術士会の各年度「実施案内」で公表されています。

4.試験地

第一次・第二次試験とも、日本全国の指定された試験地において実施されます。詳細については毎年度の「実施案内」で、試験地(会場)が明示されます。

受験者は居住地やスケジュールに応じて、適切な会場を選択することができます。

5.受験手数料

一次試験 11,000円

二次試験 14,000円

6.試験内容(詳細)

技術士試験は、第一次試験と第二次試験に大別されます。

第一次試験(技術士補相当)

第一次試験は、科学技術全般の基礎力と技術士に必要な適性を確認することを目的としています。出題科目は以下の3つに分かれます。

基礎科目:数学・物理・化学など理工系全般にわたる基礎知識を問う択一式問題

適性科目:技術士法に基づく職務倫理や公共性の理解を問う択一式問題

専門科目:受験者が選択する技術部門に関連した基礎的専門知識を問う択一式問題

これらはいずれもマークシート方式で実施され、合格者は「技術士補」として登録することが可能です。

第二次試験(技術士)

第二次試験は、筆記試験と口頭試験から構成され、技術者としての応用力、課題解決力、倫理観を総合的に評価します。筆記試験は「必須科目」と「選択科目」に分かれ、部門ごとの高度な専門知識を問われます。その後の口頭試験では、学識・実務経験・技術者倫理について20分程度の質疑が行われます。

技術士試験の部門

第二次試験では、以下の21部門が設けられています。第一次試験の専門科目も、基本的にこの区分を前提に実施されます。

  • 機械部門
  • 船舶・海洋部門
  • 航空・宇宙部門
  • 電気電子部門
  • 化学部門
  • 繊維部門
  • 金属部門
  • 資源工学部門
  • 建設部門
  • 上下水道部門
  • 衛生工学部門
  • 農業部門
  • 森林部門
  • 水産部門
  • 経営工学部門
  • 情報工学部門
  • 応用理学部門
  • 生物工学部門
  • 環境部門
  • 原子力・放射線部門
  • 総合技術監理部門(第二次試験のみ実施。第一次試験は当分の間行われません。)
  • 受験者は自身の専門領域に対応する部門を選択して受験し、その部門の専門家としての力量が評価されます

    7.合格後の流れと制度的研修

    合格後のフロー

    第一次試験合格者は「技術士補」として日本技術士会へ登録申請し、登録を経て技術士補として活動が開始できます。登録には書類提出や登録料が必要です。

    実務経験(通常4年、総合技術監理部門では7年)を積んだ後、第二次試験に挑戦可能になります。なお、技術士補制度を介さずに、直接7年以上の実務経験で受験資格を得る方法もあります。

    第二次試験合格後に「技術士」として登録し、公式に認定されます。

    研修・継続教育

    技術士取得後は、法律に基づく継続的な能力開発(CPD:Continuing Professional Development)が義務となっており、自己研鑽を制度的に求められます。

    8.資格取得のメリット

    技術士/技術士補の取得には、以下のような明確なメリットがあります。

    専門分野の認定とブランド力:技術士は、科学技術に関する高度な知見と応用力を持つ技術者として法的・社会的に認められます。

    キャリアアップ・信頼の証明:特に技術士の取得は、プロジェクト責任者やコンサルタントとしての地位・待遇面で優遇される場合が多い。

    技術士補を活用した道の柔軟化:若手技術者は、技術士補として業務能力を証明しながら、ステップアップとして技術士を目指すことができ、将来設計がしやすくなります。

    制度的整備:CPD義務の存在など、技術者として継続育成できる仕組みが整っています。

    9.まとめ

    技術士/技術士補試験は、科学技術を支える高度専門職としての力量を評価する国家資格制度です。第一次試験は誰でも挑戦可能な門戸が広い制度設計である一方、第二次試験は高い専門性を要求され、筆記と口頭を通じて総合的能力を問われます。

    取得後は、技術士補あるいは技術士として法律上の責任・権限をもって技術業務に従事でき、CPD制度により常に自己研鑽が義務付けられています。社会的評価は高く、技術職としてのキャリアを大きく前進させる資格です。

    10.ホームページ

    公益社団法人日本技術士会

    https://www.engineer.or.jp/c_categories/index02009.html