84ボイラー技士試験
1.ボイラー技士試験とは
ボイラー技士試験は、労働安全衛生法に基づく国家資格として位置づけられており、ボイラーの安全な運転に必要な知識と技能を認定する試験です。資格の種類は、扱えるボイラーの規模や安全管理能力に応じて「二級」「一級」「特級」の3段階に分かれます。いずれも名称独占資格かつ業務独占資格としての性格を持ち、ボイラーを扱う業務においては一定以上の資格保有が義務付けられる重要な資格です。
2.受験資格
二級ボイラー技士
誰でも受験が可能で、特定の学歴や資格、実務経験は不要。ただし、本人確認書類の添付が必要です。合格後に免許を受けるためには、実際にボイラーを取り扱うための実地修習(例えば大学等での学科+実習、あるいは技能講習の修了と実務経験など)が別途必要になります。
一級ボイラー技士
原則として、二級ボイラー技士の免許を有していることが前提です。または、大学・高専・高校でボイラー関連の学科を修了し、1年以上の実地修習を経た者などが対象です。
特級ボイラー技士
さらに上位資格として、主に以下のいずれかの条件を満たす者が受験できます:
一級ボイラー技士の免許を保有し、一定期間の実務経験を有する者(例:5年以上の取扱経験など)
大学・高専などで関連学科を修め、2年以上の実地修習を経た者
熱管理士・海技士・ボイラー・タービン主任技術者などの資格を有し、一定の実務経験がある者
3.試験日程(例年のスケジュール)
二級ボイラー技士
各地域の安全衛生技術センターで、毎月1回以上実施されます。試験は月に1~2回程度行われ、出張試験も全国7ブロック別に行われることがあります。
一級ボイラー技士
各センターで2~3か月に1回程度実施されます。
特級ボイラー技士
年に1回、10月上旬ごろに実施されることが一般的です。
4.試験地
受験地は、全国の各地方(北海道、東北、関東(市原・東京)、中部、近畿、中国四国、九州)にある安全衛生技術センターです。また出張試験が一部地域で実施される場合もあります
5.受験料
学科試験(全級共通):8,800円(非課税)
6.試験内容(詳細)
出題形式・科目・時間・合格基準
共通科目は以下の4分野で、級により試験形式や出題形式に違いがあります:
ボイラーの構造に関する知識
ボイラーの取扱いに関する知識
燃料及び燃焼に関する知識
関係法令
二級ボイラー技士
形式:五肢択一のマークシート方式、全40問(各科目10問ずつ)
時間:通常3時間(例:13:30~16:30)
合格基準:各科目で40%以上、かつ全科目合計で60%以上
合格率:例年約50~55%
一級ボイラー技士
形式:マークシート方式(詳細な出題数・時間は二級に近い構成と推定)
時間配分:例:12:30~16:30(4時間)のケースあり
合格基準:同様に各科目40%以上、総得点60%以上
形式:マークシート方式に加えて、記述式や計算問題も含まれる ※より高度な出題形式
科目・時間:4科目それぞれ1時間ずつ、合計4時間の試験時間を要するケースが報告されている
合格基準:同じく各科目40%以上、総得点60%以上
合格率:例年20〜25%程度と、より難易度が高い
7.合格後の流れと研修
合格後は、免許の申請を行い、正式な“免許”として交付されます。二級合格者は条件を満たしていれば免許取得が可能ですが、1級・特級ではさらに高度な免許として、より大規模なボイラーを扱う権限を持ちます。
具体的な研修制度や登録更新制度については、各センターや関連機関の案内に従って進めることになります。
8.資格取得のメリット
業務の幅が拡がる:二級は小規模ボイラーの運転、一級は中規模、特級は大規模施設まで対応可能になります。特級取得者は、どのようなサイズのボイラーでも取扱作業主任者になれるという強みがあります。
転職・就職で有利:ビル管理・プラント・工場など、ボイラー運用に関連した現場では、所持資格が応募条件として求められることも少なくありません。特に「ビルメン4点セット」等の一角として重要視されます。
昇格・報酬面でプラスに:特級取得者は高度な技能・知識を有する専門職として認識され、給与や昇級面で有利になる場合があります。
法令遵守と安全管理の信頼性:国家資格としての制度的裏付けがあり、安全かつ法令に則ったボイラー運用を担保する公的資格です。
9.まとめ
ボイラー技士試験(特級・1級・2級)は、安全なボイラー運転を保証する国家資格であり、二級は誰でも受験可能、一級は二級の免許または実地修習、特級はさらに高度な免許や実務経験が要件となっています。
試験はそれぞれの級に応じて、二級は毎月実施(マークシート)、一級は2〜3か月に1回、特級は年1回10月前後に実施され、場所は全国各地の安全衛生技術センターに分かれています。
出題内容はいずれも「構造」「取扱い」「燃焼」「法令」の4科目に共通し、合格基準は「各科目40%以上かつ全体60%以上」。特級に至っては、記述や計算問題を含む高度な出題形式で、合格率も他より低めです。
合格後は正式に免許を取得し、ボイラー取扱作業主任者として責務を担うことができ、勤務先からの期待や報酬面でもプラス効果が期待できます。
10.ホームページ
公益財団法人 安全衛生技術試験協会

