100自動車整備士試験
1.自動車整備士試験とは
自動車整備士試験とは、自動車の点検・整備・修理において専門的な知識と技能を持つことを国家が認定する資格試験です。整備士は、自動車の安全な運行と環境対策を担う重要な職種であり、法律に基づいて分解整備など一定の作業は整備士資格を有する者、またはその指導監督の下でなければ行うことができないとされています。試験は国土交通省が所管しており、自動車の構造や
機能に関する幅広い知識、さらには実際の整備技能を確認する実技能力を審査する仕組みが設けられています。
自動車整備士の種類は、一級、二級、三級および特殊整備士に分類され、それぞれに要求される技能のレベルが異なります。具体的には次のとおりです。
一級自動車整備士(二級より高度な自動車の整備ができること)
二級自動車整備士(自動車の一般的な整備ができること)
三級自動車整備士(自動車各装置の基本的な整備ができること)
特殊整備士(各分野について専門的な知識・技能を有すること)
このように、整備士の資格は自動車の種類や整備対象部位に応じて体系化されており、取得する資格の種類によって担当できる整備の範囲が異なります。そのため、自動車整備士を目指す人は、自身のキャリアプランや勤務先の業務内容に応じて、どの資格を取得すべきかを見極めることが大切です。
2.受験資格
受験には定められた要件を満たす必要があり、学歴と実務経験、または所定の養成施設修了など、複数のルートが存在します。主なものを以下に示します。
三級:実務経験1年以上、または指定養成施設の修了などで受験が可能です。
二級:三級合格後、さらに実務経験(卒業者など条件に応じて1~3年以上)が必要です。高校や専門学校卒業などによる短縮もあります。
一級:二級合格者+一定以上の実務経験が必要です。
特殊整備士:実務経験または養成施設の修了で受験資格を得られます。
詳細な実務経験年数や要件は、所属する都道府県の自動車整備振興会などに確認することが推奨されます。
3.試験日程(例年のスケジュール)
試験は学科試験と実技試験の両方で構成され、基本的に年に2回、全国各地で実施されています。学科試験は主に上期(春〜初夏)、実技試験はその後数か月内に実施される傾向があります。
一部の特殊種目や地域では、さらに個別のスケジュールが定められていることがあります。令和7年度には、例えば電気装置整備士の学科試験が10月22日、実技試験が12月14日に設定されるなど、実施時期が個別に案内される場合もあります。
4.試験地
試験については、各都道府県の自動車整備振興会や地方運輸局などが指定する会場で行われます。学科試験・実技試験ともに、受験者の居住地に応じて最寄りの会場で受験ができます。たとえば、東京都では市ヶ谷や都内各支所の会場で実施されることがあります。
詳細な実施地は試験案内や各振興会の案内を参照してください。
5.受験手数料
自動車整備士の種類1件につき7,200円
6.試験内容(詳細)
自動車整備士試験は、「学科試験」と「実技試験」の二部構成です。級や種類によって学科の科目や実技の内容は異なりますが、以下に主な要素を整理します。
学科試験
学科試験は各種資格に応じて異なりますが、例えば二級ガソリン自動車整備士では以下のような科目が出題されます。
構造、機能および取扱法に関する一般知識
点検、修理、調整および完成検査の方法
整備用試験機、計量器、工具の構造、機能、取扱に関する一般知識
材料および燃料油脂の性質および用法に関する一般知識
図面に関する初等知識
保安基準その他整備に関する法規
これらを複数科目にわたって幅広く出題。一級ではこれに加えて口述試験がある場合もあります。
実技試験
実技試験は整備技能を実際に確認する内容で、たとえば以下のような構成になります。
国土交通省
基本工作
点検、分解、組立、調整および完成検査
修理作業
整備用試験機、計量器、工具の取扱い
二級では30分前後で3課題が出題される傾向が見られ、課題は機械的作業が中心です。
7.合格後の流れと研修
試験に合格すると、合格証書や資格証が交付されます。その後は所定の申請手続きにより、自動車整備士として正式に登録され、整備業務に従事することが可能になります。
また、資格取得後に研修の受講が求められる場合や、上位資格へのステップアップのための実務経験が必要となるケースもあります。特に一級整備士になるためには、一定期間の実務経験を経ることが制度上定められています。
8.資格取得のメリット
法令対応のできる整備者として信頼性向上:分解整備など法的に認められた業務を行える国家資格として、整備のプロフェッショナル性を証明できます。
キャリア形成への強み:整備工場やディーラーなど、就職・転職時に求められる資格であり、特に二級整備士は整備部の中心的な立ち位置になります。
上位資格への道:二級→一級、または特殊整備士へのステップアップが可能であり、専門性の深化や技術指導職も目指せます。
安心・安全への貢献:整備士としての役割を通じて、交通事故防止や環境保護など社会的責任を担うことにつながります。
9.まとめ
自動車整備士試験は、国家が認定する自動車の安全と整備技術を支える資格への第一歩であり、誰もが社会に貢献できる技術者を目指すにあたって重要な制度です。受験には学歴または実務経験が必要で、年2回全国で学科・実技の両試験が実施され、学科では多岐にわたる知識、実技では実操作技術が問われます。合格後は正式登録の上で整備業務に従事し、上位の資格取得や研修によってキャリアを積むことが可能です。
10.ホームページ
国土交通省

