漢読検定
1.漢読検定とは
漢読検定とは、漢字の「読み」の力に特化した検定試験です。日常的に使用される漢字から、地名・駅名・苗字・植物・魚介など、幅広いジャンルにおいて漢字を正しく読めるかを問うものとして設計されています。
パソコンなどのデジタル機器による文字入力が日常化した現代では、漢字を「書く力」と「読む力」の必要性に大きな差が生まれています。パソコンなどにおける文字入力の自動変換機能の普及によって、漢字を書く力の重要性は相対的に低下している一方で、そのように入力された漢字を正しく理解し読む力の重要性は、むしろ高まっています。
漢読検定は、従来の「漢字能力検定」(読み書き両方を測る)とは異なり、書く・筆順・部首などの技能ではなく、「読む」という点にフォーカスしている点が大きな特徴です。
漢字を「読む」力を可視化・証明するための新しいタイプの検定として注目されており、漢字に苦手意識がある方、仕事や学習において漢字読みの正確性を高めたい方に適しています。
1級から5級までのクラスがあり、どの級からでも受験することができます(4級と5級は2026年から実施)。1級と2級については、正答率に応じて準1級と準2級の認定があります。
2.受験資格
学生・社会人・日本語学習者(外国人含む)といった属性を問わず、幅広く受検可能な検定です。
認定校(全国の大学・高等学校・専門学校・日本語学校等)において団体受験できる仕組みも整っており、教育機関の学生等にも開かれた形となっています。
したがって、「漢字の読み」を向上させたいという意志を持つ方であれば、特段受験資格で阻まれることなくチャレンジできる、親しみやすい検定と言えます。
3.試験日程(例年のスケジュール)
漢読検定は、年度内に6回実施されます。
具体的な日時については、公式ホームページを参照してください。
4.試験地
漢読検定は、受験方式として オンライン受験 および CBTテストセンター受験の二つを提供しています。公式サイトによる詳細は次の通りです。
オンライン受験:自宅・会社・学校等、インターネットに接続可能なパソコン環境があれば全国どこからでも受験可能です。ただし、スマホ・タブレットでは受験できなせん。
CBTテストセンター受験:全国に約30か所の委託会場が用意されており、会場に設置されたパソコンを用いて受験できます。会場一覧は公式サイトにて案内されています。
5.受験料(税込)
1級:8,800円 学割:7,920円
2級:6,600円 学割:5,940円
3級:5,500円 学割:4,950円
CBT会場を利用する際には別途2000円、オンラインIBT形式のWebカメラは無料ですが、送料(往復)1,200円がかかります。
6.試験内容(詳細)
本検定の中心となるのは、「漢字を表示して、その正しい読みを答える」という形式で進行します。級別ごとの出題範囲・出題ジャンルを以下に整理します。
級のレベルと出題内容
| 級名 | 出題内容 | 受験者対象者のレベル |
|---|---|---|
| 1級 | 常用漢字、表外漢字1022字、文部科学省用字用語例・難読地名、難読駅名、難読苗字名、その他の難読漢字 | ビジネス上級レベル、教育指導者レベル |
| 2級 | 常用漢字、表外漢字1022字、文部科学省用字用語例、指定難読地名、指定難読駅名、指定難読苗字名、その他の難読漢字 | ビジネス実務レベル、大学卒業レベル |
| 3級 | 常用漢字2136字、表外漢字400字、高校卒業レベルの漢字の読み、新聞、一般的なニュース、指定難読地名、指定難読駅名、指定難読苗字名、指定したその他の難読漢字 | 高等学校卒業程度のレベル。日常語・新聞・日常案内文の読解が十分にできる。 |
| 4級 | 中学校卒業レベル(常用漢字2136字)の読み、基本漢字による名詞、動詞、形容詞、副詞、熟語の読み、日常物の読み(例:山・川・花・動物など) | 中学校卒業レベル。基本漢字・熟語の読解力がある。社会生活に困難がない。 |
| 5級 | 小学校卒業レベル。常用漢字1006字の読み、名詞、動詞、形容詞、副詞、熟語の読み、日常物の読み(例:山・川・花・動物など) | 小学生、外国人向け。社会生活に必須な基本の漢字が読める。 |
受験方法・制限時間・出題数等
| 級 | 受験方法・受験会場 | 制限時間 | 出題数 | 正答率(正答数) |
|---|---|---|---|---|
| 1級 | オンライン受験 認定校受験 | 60分 | 300 | 95%(285) |
| 準1級 | 1級受験の方で、正答率90%以上95%未満の方を認定します。 | 300 | 90%(270) | |
| 2級 | オンライン受験 認定校受験 | 50分 | 240 | 90%(216) |
| 準2級 | 2級受験の方で、正答率90%以上95%未満の方を認定します。 | 240 | 85%(204) | |
| 3級 | オンライン受験 認定校受験 | 40分 | 180 | 85%(153) |
| 4級 | オンライン受験 認定校受験 | 30分 | 120 | 85%(102) |
| 5級 | オンライン受験 認定校受験 | 30分 | 80 | 85%(68) |
7.合格後の流れ
合格した受験者には、合格証書・認定カードなどが発行されます。
合格後の活用としては、履歴書・職務経歴書への記載、自身の漢字読み能力の証明、社内研修・自己啓発の実績として活用が可能です。また、教育機関・日本語学校などでは、学習成果の一環として学生に受検を促すケースもあります。
8.資格取得のメリット
漢読検定を取得するメリットには、以下のような点が挙げられます。
読みの正確性をアピールできる証明となる
日常業務やビジネス文書上で、地名・駅名・人名・専門用語などを誤読することで生じる誤解を防ぐため、「漢字を正しく読める」という信頼性を示せる点は価値があります。
読解・漢字語彙力・慣用読みの底上げにつながる
学習を通じて、新聞・報道・ビジネス文書・案内表示などで用いられる漢字語彙が整理され、読みの引き出しが速くなります。特に上級級を目指すことで教養的な読み力も鍛えられます。
学習目標・自己啓発の指標になる
漢字の読みを改めて整理・復習する機会となり、自己啓発として位置づけやすい検定です。教育機関においても学習課題として導入しやすい特徴があります。
オンライン/全国会場対応の利便性
全国どこからでも受験可能なオンライン方式や複数のテストセンターが用意されており、受験環境のハードルが比較的低めです。これにより、地方在住者や社会人でも受験しやすいというメリットがあります。
差別化・専門性アピール
「読む」ことに特化している検定はまだ少なく、特に地名・駅名・苗字・専門語などを読めることを示せるという点で、一般の「漢字検定(読み書き)」とは異なる差別化要素になります。
9.まとめ
漢読検定は、漢字の「読み」に特化した検定試験として、日常語・地名・駅名・苗字・植物・動物・魚名・専門語など幅広いジャンルを対象に、読む力を可視化・証明することを目的としています。受験資格は年齢・職業・学歴を問わず、学生・一般・日本語学習者いずれもチャレンジ可能です。オンライン・CBT会場の両方式に対応し、全国規模で受験できる点も魅力です。試験ではパソコンでの受験が前提であり、オンライン受験時には360度 Web カメラによる監視体制もあるなど、受験環境にも特徴があります。出題は「漢字を正しく読む」ことに絞られ、級が上がるほど難読地名・駅名・苗字・専門語・表外漢字などの読みが問われ、速さ・正確さ・知識の幅が求められます。合格後は読み能力の証明として活用でき、自己啓発やビジネス・教育の場面において価値があります。勉強を通じて漢字読みの引き出しを増やし、読みの自信を高めることで、業務や学び・日常の中でのコミュニケーション力・教養力を強化するよい機会となるでしょう。
漢字の「読む」力を自らの力として磨きたい方には、漢読検定は有力な選択肢と言えます。
10.ホームページ











