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国家公務員採用総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)

1.国家公務員採用総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)とは

国家公務員採用総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)は、「政策の企画及び立案、または調査及び研究に関する事務をその職務とする係員の採用試験」です。

中央省庁におけるいわゆる「キャリア官僚候補」を対象とする難関試験で、高度な政策対応能力が求められます。

大きく分けて、「大卒程度試験」と「院卒者試験(法務区分を除く)」があり、さらに秋に「教養区分」、あるいは「法務区分(司法関係を対象)」が実施されます

本解説では主に春に行われる大卒・院卒向け試験を中心に扱います。

2.受験資格

◎ 大卒程度試験(春)

原則として、大学(短期大学を除く)を卒業した者、または卒業見込みの者。

または、人事院がこれと同等の学力を有すると認めた者。

年齢については、試験年度ごとに定められる生年月日要件(おおむね20代後半まで)を満たすこと。

◎院卒者試験(法務区分を除く)

原則として、大学院修士課程を修了した者、または修了見込みの者。

または、人事院がこれと同等の学力を有すると認めた者。

年齢については、試験年度ごとに定められる生年月日要件(おおむね20代後半まで)を満たすこと。

◎ 共通の制限

国籍:日本国籍を有さない者は原則受験不可

その他法令上の制限:禁錮以上の刑の執行中、懲戒免職から2年経過していない者、反憲法的な団体への加入者などは受験不可

3.試験日程(例年のスケジュール)

申込受付期間:例年2月初旬〜2月下旬

第1次試験日:3月中旬

第1次試験合格発表: 3月下旬から3月末

第2次試験(筆記):4月中旬

第2次試験(人物面接):4月〜5月中旬

最終合格発表:5月下旬

4.試験地

全国主要都市で行われます。

5.試験内容(詳細)

大卒・院卒試験の春試験における具体的な内容をまとめます。

第1次試験(多肢選択式)

基礎能力試験:

出題数:30問

試験時間:2時間20分

専門試験(多肢選択式):

出題数:40問

試験時間:3時間30分

第2次試験

専門試験(記述式):

出題:2題

試験時間:3時間

政策論文試験(対象区分により異なるが、大卒程度は論文):

出題数:1題

試験時間:1時間30分

人物試験(面接):

実施:個別面接

6.合格後の流れと研修

官庁訪問:最終合格後に「採用候補者名簿」に掲載され、6月以降に希望省庁を訪問し、面接・説明会を通じて選考・内々定を得ます。

内々定から正式内定へ:官庁訪問終了後、10月1日に正式な採用内定となります

入省・研修:正式採用後、翌年4月に国家公務員総合職として各省庁に配属されます。

7.資格取得のメリット

早期キャリア形成:入省後は政策立案や研究など、高度な業務に携われ、昇進スピードも比較的速い傾向があります。

選択肢の広さ:複数の専門区分(法務、法律、経済、政治・国際・人文、デジタル、工学、人間科学など)があり、自身の専攻に応じた柔軟な選択が可能です。

強い専門性配点:専門試験(記述・多肢選択)が高配点(8/15)であるため、自分の得意分野でしっかり対策すれば力が活かせます。

8.まとめ

国家公務員総合職試験は、中央省庁で政策企画や立案、研究などに従事する幹部候補を採用するための試験であり、我が国の行政運営を担う人材を育成する上で極めて重要な役割を果たしています。受験資格には年齢や学歴などの要件があり、大卒程度試験と院卒者試験に分かれて実施される点が特徴です。また、国籍や懲戒歴などに関する制限も設けられており、公務員としてふさわしい人物であることが求められます。

試験日程は例年2月の出願から始まり、3月に第1次試験、4月から5月にかけて第2次試験が実施され、5月末に最終合格発表が行われます。その後6月に官庁訪問が始まり、内々定を経て10月に正式な採用内定が決定し、翌年4月からの勤務開始という流れになります。

試験内容は基礎能力試験や専門試験(多肢選択式・記述式)、政策論文試験、そして人物試験と多岐にわたり、特に専門試験の配点が高く重視されるのが特徴です。これにより、受験者は自らの専門分野を深めつつ、幅広い教養や論理的思考力、政策立案能力を磨くことが求められます。

最終合格後には、官庁訪問を通じて志望省庁とマッチングを行い、正式採用後は新規採用職員研修を経て各省庁に配属されます。

総合職試験を突破することのメリットは大きく、早期に政策立案や国の施策形成に携わることができる点や、専門分野を活かしてキャリアを積み上げられる点にあります。

このように、国家公務員総合職試験は、受験準備から合格後のキャリアまで一貫して高いハードルと大きな魅力を併せ持つ試験であり、日本の将来を担う行政官を志す人々にとって最も重要な登竜門となっています。