保育士試験
1.保育士試験とは
保育士とは、児童福祉法に定められた国家資格であり、児童の保育および保護者への保育に関する指導を、専門的知識と技術をもって業として行う者を指します。
保育士の資格を取得する方法は主に二つあります。一つは、都道府県知事が指定した養成施設を卒業すること。もう一つは、保育士試験に合格することです。
後者は、養成施設を経ずとも国家資格を得られる、挑戦しがいのあるルートです。
保育士試験は筆記試験と実技試験の2段階で構成されており、筆記試験に全科目合格した者のみが実技試験を受験できます。
2.受験資格
学歴による受験資格
このほかに、実務経験による受験資格や経過措置による受験資格も定められています。
3.試験日程(例年のスケジュール)
保育士試験は、例年「前期」と「後期」の年2回実施されます。
前期
筆記試験:4月第3週の土・日
実技試験:6月最終週の日曜日
後期
筆記試験:10月第3週の土・日
実技試験:12月第1週の日曜日
4.試験地
会場は各都道府県に設けられます。
5.受験手数料
12,700円
6.試験内容(詳細)
筆記試験
2日間で下記の9科目がマークシート形式で実施されます
科目一覧と配点・出題形式
保育の心理学
保育原理
子ども家庭福祉
社会福祉
教育原理
社会的養護
子どもの保健
子どもの食と栄養
保育実習理論
各科目で満点の6割以上が合格基準ですが、「教育原理」と「社会的養護」は両方とも6割以上得点しなければ合格とはなりません。
実技試験
筆記試験に全科目合格した受験者のみが対象です。
1日で、以下3分野のうち2分野を選択して受験します。
音楽に関する技術:幼児に歌って聴かせることを想定して、2つの課題曲(両方)を弾き歌いする。
造形に関する技術:保育の一場面を絵画で表現する。
言語に関する技術:3歳児クラスの子どもに「3分間のお話」をすることを想定して、子どもが集中して聴けるようなお話を行う。お話は3つの課題のうち1つが当日指定される。
7.合格後の流れ
保育士試験合格者は、「保育士」として業務に就く場合、都道府県知事への登録手続きが必要です。事前に「登録事務処理センター」にて保育士試験合格通知書を用いて保育士登録の手続きを行う必要があります。
8.資格取得のメリット
国家資格としての信頼性:児童福祉法に基づく国家資格であるため、安定したキャリア構築が可能です。
養成課程を経ないルートもある:養成施設に通わず、筆記+実技試験の合格で資格取得が可能で、多様な受験者に門戸を開いています。
科目免除・合格科目の有効期間:免除制度や合格科目の有効期限(数年間)により、複数年にわたって計画的に全科目取得できる点が魅力です。
再就職やキャリアの柔軟性:一度取得すれば生涯活用でき、結婚・育児・転職後の再就職にも強いメリットがあります。
9.まとめ
保育士試験は、児童福祉法に基づく国家資格取得のための試験であり、養成施設卒以外のルートを選ぶ者にとって重要な制度です。筆記試験(9科目)と実技試験(3分野から2分野選択)の2段階方式で、いずれも合格を得ることで資格が得られます。
受験資格には学歴や実務経験の要件があり、さらに科目免除や合格科目の有効期間など、合理的な制度設計がなされています。試験は年2回、前期は4月・6月、後期は10月・12月という流れで進行し、試験地は受験票による案内を待つ形式です。
資格取得後は、都道府県への登録を経て保育事業に従事できるようになり、生活やキャリアの変化にも柔軟に対応しうる生涯有効な国家資格という位置づけです。挑戦しやすく、かつ生涯にわたって価値のある資格として、多くの人にとって希望となる存在です。











