歯科医師国家試験
1.歯科医師国家試験とは
日本において歯科医師として医療行為を行うには、国家試験に合格し、厚生労働省から免許を取得する必要があります。歯科医師国家試験は、歯科医師法に基づいて実施され、「臨床上必要な歯科医学および口腔衛生に関して、歯科医師として有すべき知識および技能」を評価する最終の認定試験です。
2.受験資格
主な受験資格は以下の通りです
日本の大学において歯学の正規課程を修了した者、または試験実施年の3月10日までに卒業見込みの者
歯科医師国家試験予備試験に合格し、かつ合格後1年以上の診療および口腔衛生に関する実地修練を完了見込みの者
海外の歯科大学を修了し、歯科医師免許を取得しており、厚生労働大臣が同等以上と認定した者
3.試験日程(例年のスケジュール)
願書受付:11月上旬〜下旬
試験日:2月上旬の2日間
合格発表:3月中旬
4.試験地
試験は、北海道・宮城・東京都・新潟・愛知・大阪・広島・福岡の8都道府県に設置され、各都道府県に複数の会場が設けられることもあります
5.受験手数料
18,900円
6.試験内容(詳細)
歯科医師国家試験は、厚生労働省が定める「出題基準」に基づいて実施されます。
この基準は、歯科医師として臨床上必要な歯科医学及び口腔衛生に関する知識と技能を総合的に評価することを目的としています。
試験形式・時間
試験は2日間にわたって実施され、すべてマークシート方式で行われます。
出題形式は、五肢択一式(Aタイプ)を中心に、複数選択式(X2〜X4タイプ)や、設問の関連性を問う形式(LAタイプ)など、多様なタイプが採用されています。
時間は1日目・2日目ともに午前・午後に分かれて行われ、全体でおおむね9時間程度の筆記試験です。
出題構成
試験問題は、「必修問題」「一般問題」「臨床実地問題」の3区分で構成されています。
必修問題:歯科医師として最低限必要な知識や判断力を問う問題。
一般問題:基礎および臨床に関する総論・各論を中心に出題。
臨床実地問題:臨床現場での対応力、総合的な判断力を評価する症例形式の問題。
総問題数は約360問で、配点は一般に「一般問題(必修を含む)1問1点」「臨床実地問題1問3点」とされています。
出題範囲(出題基準)
出題基準は、歯学教育モデル・コア・カリキュラムを基礎として構成され、以下のような内容が含まれます。
医の倫理、プロフェッショナリズム、社会と歯科医療
口腔と全身の健康維持・予防・健康管理
人体の構造と機能、主な疾患とその病態・診断・治療
歯科材料、機器、臨床判断、医療安全
高齢者・障害者への対応、摂食・嚥下・リハビリテーション
保健・医療制度、地域包括ケア、多職種連携など
これらの範囲は、厚生労働省が公表する最新の「出題基準(令和5年改訂版)」に基づいて策定されています。
合格基準
合格判定は、試験の難易度を考慮し、厚生労働省が定める次の基準により行われます。
必修問題:一定以上の得点(例:80問中64点以上)を得ること。
一般問題(総論・各論):それぞれで基準点以上を得ること。
禁忌肢問題(医療安全・倫理上選択してはならない肢)の選択が2問以下であること。
これらすべての条件を満たした場合にのみ、合格と認定されます。
7.合格後の流れと研修
合格者は厚生労働省ホームページで合格番号と受験地名が公表され、合格通知と登録免許の手続き案内が送付されます。
その後、歯科医師免許申請を行い、所定の登録手数料を納付すると、歯科医師免許証が交付されます。
国家試験に合格、歯科医師免許を取得して、診療に従事しようとする歯科医師は、1年以上、臨床研修を受けることが義務づけられています。
8.資格取得のメリット
歯科医師国家試験に合格し免許を取得することで、日本において合法的に診療・治療・処方を行うことが認められます。
歯科医院、病院、研究所、教育機関、行政、製薬企業、保健指導施設など、活躍の舞台が幅広いです。
患者の口腔健康維持・地域保健医療への貢献や、高齢者や障害者ケアなど、社会的ニーズへの対応能力も高まります。
9.まとめ
歯科医師国家試験は、歯科医師として法的に認められるために必要な、知識・倫理・臨床判断を評価する国家試験です。大学卒業など明確な受験資格が定められ、例年1月末から2月初旬の2日間にわたり全国8都道府県で実施されます。試験内容は、必修・総論・各論・臨床実地問題から構成され、合計360問、約9時間の長丁場。出題形式は多様で、記憶力だけでなく思考力・計算力・判断力も求められます。合格には必修の得点基準と2領域別の点数基準、禁忌肢制限のすべてを満たす必要があります。合格後は免許申請を経て正式な歯科医師として登録され、1年以上の研修を経て、さまざまな分野で活躍することができます。











