保健師国家試験
1.保健師国家試験とは(試験概要)
保健師国家試験は、妊産婦・乳幼児から高齢者まで、地域の健康支援や疾病予防・保健活動を担う 保健師として働くための国家資格取得に必要な試験です。看護師資格を前提とし、厚生労働省が定める出題基準に基づき公益財団法人等が実施します。合格後、厚生労働大臣によって保健師免許が交付され、行政・地域・企業などさまざまな場で公的保健活動に従事できます
2.受験資格
受験資格は以下のどれかに該当する者です:
看護師資格を持ち、さらに 保健師養成課程を1年以上修了または修了見込みの者
文部科学大臣または都道府県知事が指定する養成課程(専門学校や大学)の修了または見込みの者
外国の保健師養成課程を修了し、厚労省が国内と同等と認めた者
旧法時代の条件により継続教育的に認定されている者
看護師国家試験合格が前提であるため、看護師と同時に受験する新卒者は注意が必要です。保健師に合格しても看護師免許がなければ登録できず、後日看護師試験に合格した時点で初めて保健師免許が有効となります。
3.試験日程(例年スケジュール)
受付期間:11月上旬~下旬
試験日:2月中旬
合格発表:3月下旬
4.試験地
試験は 全国12都道府県 で開催され、主な会場は以下の通りです:
北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県
会場は各都道府県の指定大学や施設(例:東京では複数会場)が使用されます。
5.受験手数料
5,400円
6.試験内容(詳細)
問題構成
試験問題は次の2区分で構成されています。
一般問題:専門的な知識や判断力を問う問題
状況設定問題:具体的な事例をもとに、保健師としての思考力・応用力・判断力を問う問題
出題基準は、保健師としての業務を遂行するために必要な能力を総合的に評価することを目的としています。
出題分野
出題基準では、次の4つの領域に関する内容が示されています。
公衆衛生看護学
地域社会における健康課題を把握し、個人・家族・集団を対象に健康の保持増進を図るための理論と実践を扱います。
疫学・保健統計学
地域や集団の健康状態を科学的に評価し、健康施策の立案や保健活動に活かすための基礎的手法を学びます。
保健医療福祉行政論
保健師活動の基盤となる行政制度、法制度、組織運営、地域保健体制などに関する知識を問います。
保健活動論・地域保健論
地域における健康支援、保健計画、健康危機管理、関係機関との連携など、保健師実務に直結する内容を扱います。
出題のねらい
出題基準では、保健師に求められる能力を次のように示しています。
地域・集団・個人を対象に、健康課題を科学的に把握し支援できること
保健・医療・福祉の連携体制の中で、行政的・専門的判断に基づき行動できること
社会の変化に応じて、健康危機管理や地域包括ケアに対応できること
これらの観点から、出題は単なる知識の記憶ではなく、実践的判断力・応用力・倫理観を重視する構成となっています。
7.合格後の流れと研修
合格発表後:厚労省HPで受験地と受験番号が掲載されます。通知書も届き、免許申請手続きの案内がなされます
免許申請:登録免許税・手数料の納付を経て、保健師免許証が交付されます。
資格の活用:保健所、区市町村、医療機関、行政機関、企業の健康部門などで就業可能。
継続教育・研修:免許更新制度はありませんが、保健師協会や自治体等主催の研修を受け、知識・スキルを更新することが推奨されます。
8.資格取得のメリット
保健師として公的保健活動に法的に従事できる唯一の資格です。
合格率が高く、養成課程をしっかり修了すれば高い確率で合格可能です。
活躍分野は、保健所・保健センター・学校・企業など幅広く、地域保健や健康政策に貢献できる仕事です。
高齢化社会や地域包括ケア推進に伴い、公衆衛生の担い手として需要が拡大しています。
9.まとめ
保健師国家試験は、看護師資格の上に成り立つ専門職としての国家試験で、試験日は 毎年2月中旬、合格発表は 3月下旬のケースが多いです
科目は4分野に分かれて公衆衛生全体を網羅し、特に 状況設定問題で応用力が問われます。
合格後は免許申請を通じて正式な「保健師免許証」が交付され、行政や地域医療、福祉分野での活躍が可能です。











