公認心理師試験
1.公認心理師試験とは
公認心理師試験は、心理学に関する専門知識と技術を持ち、保健医療、福祉、教育その他の分野で、心理的支援を業とする者として活動する資格「公認心理師」を取得するための、国家資格試験です。合格者は登録簿への登録を受けて「公認心理師」の名称を用いることができ、心理状態の観察・分析、相談・助言・指導、関係者への支援、さらに心の健康に関する情報普及を行う業務を担う専門職として認められます。
2.受験資格
公認心理師の受験資格には、いくつかのルートがあります。主な区分を挙げます:
区分A(大学+大学院の6年経路):大学で必要科目を履修し、大学院でさらに必要科目・実習を修了。
区分D1/D2:大学院に2017年9月15日以前に入学または修了しており、規則に定める科目を修了。
区分E/F:大学で必要科目を履修、大学院で科目履修または関連業務従事(2年以上)を経て認められるルート。
これらに加え、「外国の大学・大学院を修了した者」なども認定対象になる場合がありますが、詳細は実施機関の公式資料をご確認ください。
3.試験日程(例年のスケジュール)
試験は年1回実施されます。
申込受付:12月上旬〜末
試験日:3月上旬
合格発表:3月下旬
4.試験地
試験地は、東京都および大阪府の2都府に限定されており、受験希望時にどちらかを選択します。
5.受験料
受験料は28,700円で、クレジットカードまたはコンビニ決済で支払います。申込時に決済し、期限内に手続きを完了する必要があります。
6.試験内容(詳細)
出題形式・時間
形式:四肢または五肢択一のマークシート方式。
出題数:概ね150~200問程度
時間配分:午前120分(10:00〜12:00)、午後120分(13:30〜15:30)
合格基準:総得点の60%以上を目安に、問題の難易度に応じた補正が行われます。
出題範囲
以下の項目について問われます。
① 公認心理師としての職責の自覚 ② 問題解決能力と生涯学習 ③ 多職種連携・地域連携 ④ 心理学・臨床心理学の全体像 ⑤ 心理学における研究 ⑥ 心理学に関する実験 ⑦ 知覚及び認知 ⑧ 学習及び言語 ⑨ 感情及び人格 ⑩ 脳・神経の働き ⑪ 社会及び集団に関する心理学 ⑫ 発達 ⑬ 障害者(児)の心理学 ⑭ 心理状態の観察及び結果の分析 ⑮ 心理に関する支援(相談、助言、指導その他の援助) ⑯ 健康・医療に関する心理学 ⑰ 福祉に関する心理学 ⑱ 教育に関する心理学 ⑲ 司法・犯罪に関する心理学 ⑳ 産業・組織に関する心理学 ㉑ 人体の構造と機能及び疾病 ㉒ 精神疾患とその治療 ㉓ 公認心理師に関係する制度 ㉔ その他(心の健康教育に関する事項等)
内容の特徴
出題は、心理学の基礎理論のみならず、臨床・発達・教育・福祉・医療・司法・産業など、応用領域に至る幅広い実践的内容が含まれており、研究法や心理測定、心理療法、支援方法、制度・法規などの理解も求められます。
また、社会の変化や最新の心理学研究成果を反映する傾向が強く、「問題解決力」「チーム連携」「倫理・安全」「情報の取り扱い」といった実務に即した能力も重視されます。
7.合格後の流れと研修
合格発表:受験番号によって合否が公式サイトで公開され、PDF形式の合格通知書等をダウンロード可能です(郵送なし)。
公認心理師の資格は、公認心理師法に基づく国家資格です。公認心理師試験合格後、公認心理師となるためには所定の登録を受けなければなりません。登録申請をし、登録が完了すると「公認心理師」となります。
研修制度:登録後には、公認心理師試験研修センターによる継続的な研修の仕組みなどがあります(具体的には登録機関のガイドをご確認ください)。
8.資格取得のメリット
公認心理師は、国家資格として法的に名称使用権があり、心理専門職として責任と専門性が明確化されている点が大きなメリットです
幅広い分野での活用:医療、福祉、教育、司法、産業など多様な現場で心理支援を行えること。
法的・倫理的裏付け:名称独占資格であり、倫理基準や職責が法律で定められている点から信頼性が高い。
専門職としてのキャリア形成:継続研修や登録更新の制度により、専門性を継続的に高める仕組みがある。
社会的評価:心理学の知識を活かした支援者として、心の健康分野で期待される役割を担える。
9.まとめ
公認心理師試験は、心理学に基づいた実践的支援を法律で位置づけられた国家資格です。受験には大学・大学院修了など複数のルートが存在し、試験は例年3月上旬に東京都・大阪府で実施され、申込は前年末に行われます。形式はマークシート方式で150~200問程度、午前・午後の2部構成。出題範囲は広く、心理学の基礎から応用、支援技術、制度・法規までを網羅。合格後は登録手続と研修により、学びを継続する体制が整備されており、専門職としての信頼性と活動領域の広さが大きな魅力です。











