介護福祉士国家試験
1.介護福祉士国家試験とは
「介護福祉士国家試験」は、高齢者や身体上または精神上に障害があり日常生活を営むのに支障を抱える人々に対し、心身の状況に応じた介護を行い、かつその介護者への指導を担う専門職「介護福祉士」の国家資格を取得するための、筆記による国家試験です。厚生労働大臣が定めた基準を満たした上で、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが指定試験機関および登録機関として、試験の実施および資格登録の事務を担っています。
2.受験資格
介護福祉士国家試験には、以下の4つの受験資格ルートがあります。
①養成施設ルート
介護福祉士養成施設を所定の年数修了した者(または修了見込みの者)
②実務経験ルート
一定年数以上、介護等の実務に従事し、さらに実務者研修など指定の研修を修了した者
③福祉系高校ルート
福祉系高校(または特例高校)で所定の科目を履修して卒業(または卒業見込み)し、さらに一定の実務従事要件を満たした者
④EPAルート
外国籍の方でEPA制度を通じて介護分野に従事した実務経験をもつ者
3.試験日程(例年のスケジュール)
受験申し込み受付期間:8月~9月上旬
試験日:1月下旬
合格発表:3月中旬
4.試験地
試験会場は全国35か所で実施されます。
5.受験手数料
18,380円
6.試験内容(詳細)
(1) 試験構成
試験は筆記1日のみで、午前・午後に分かれ、選択式中心に構成されており、以下のパートに分かれています。
介護過程
総合問題(事例形式)
出題形式は五肢択―を基本とする多肢選択形式とし、問題に図表等が用いられることがあります。出題数は125間、総試験時間数は220分です。
(2) 合格基準
合格判定には以下の基準が設けられています
全パート受験者の場合:
総得点が難易度補正後で約60%以上(合格基準点)であること。
11科目群すべてに得点があること:
一部パートのみ受験者の場合:
平均得点比率に応じたパートごとの基準を満たし、かつそのパート内の科目すべてに得点があることが必要です。パートAは60点、パートBは45点、Cは20点の配点になっています。
パート合格は翌々年まで有効です
7.合格後の流れ
合格者は必要書類等を試験センターへ提出します。試験センターで受理されると、審査の上、登録証が交付されます。
8.資格取得のメリット
介護福祉士国家資格取得の主なメリットは以下の通りです:
国家資格としての信頼性
公的な根拠(社会福祉士及び介護福祉士法)に基づいた専門資格であるため、業界・利用者間での信頼が高い。
専門的ケアの実践力
幅広い知識(身体・認知・生活支援・コミュニケーションなど)を体系的に学び、専門ケアが可能になる。
制度的資格者としての活躍機会
施設・訪問・地域包括支援センター・行政など、多様な現場で主任やリーダーとしての役割が期待される。
キャリアパスの形成
指導・管理職、相談支援専門職、教育・研修担当など、多方面へのキャリア展開が可能。
社会福祉制度への貢献
高齢化社会の中、社会福祉の増進や質の高い介護サービス提供に貢献する専門職となる。
9.まとめ
介護福祉士国家試験は、介護福祉士として必要な知識・技能を筆記試験により評価し、合格後に国家資格が取得できる重要なステップです。受験資格は養成施設卒業、実務経験+研修、福祉系高校・EPAルートなど多様であり、自身のキャリアに応じた申込みルートを選べます。
試験は毎年1月下旬に実施され、受験申し込みは前年度の夏(8~9月)、合格発表は3月中旬です。試験内容はA~Cパートに分かれ、医療的ケアから生活支援、総合演習まで幅広く問われます。合格には総得点基準に加え、各科目群で得点が必要となる厳格な形式です。
合格後は国家資格として登録され、現場で高い専門性を発揮できる介護福祉士となり、キャリアや社会貢献の幅を広げることが可能です。











